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理学療法士国家試験の合格率は、直近の第61回(2026年)で89.7%です。
新卒受験者に限ると94.9%に達しており、養成校でしっかり準備できれば合格できる試験です。
本記事では、厚生労働省のデータをもとに合格率の推移・試験内容・他の医療系国家資格との比較・偏差値との関係・不合格になりやすいパターン・効果的な勉強法を、現場で多くの受験生を見てきた視点からまとめています。

理学療法士国家試験の合格率は、直近の第61回(2026年)で89.7%です。
新卒受験者に限ると94.9%となっており、養成校でしっかり学んだうえで受験すれば、大多数の人が合格できる難易度といえます。
難しそうなイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
合格率のデータを正しく読み解くことが、自分に合った対策を立てる第一歩になります。
年度ごとの変動や新卒・既卒の差も含めて、順番に整理していきましょう。
第61回理学療法士国家試験(2026年2月23日実施)の全体合格率は89.7%でした。
厚生労働省の発表によると、受験者数12,436人のうち11,156人が合格しています。
新卒者に絞ると受験者11,366人のうち10,782人が合格し、合格率は94.9%に達しました。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 12,436人 | 11,156人 | 89.7% |
| うち新卒者 | 11,366人 | 10,782人 | 94.9% |
出典:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」(令和8年3月)
第61回の合格基準は以下のとおりです。
一般問題は1問1点(160点満点)、実地問題は1問3点(117点満点)で構成されており、2つの基準をどちらも満たした者が合格となります。
なお、採点除外となった不適切問題は8問あったため、満点が変動しています。
合格基準点は年度ごとに採点除外問題の数によってわずかに変動します。
受験する年度については、厚生労働省の公式ページで必ず確認するようにしてください。
理学療法士国家試験の合格率は、年度によって79%台から90%台まで幅があります。
以下の表は、厚生労働省の各回合格発表をもとにした過去約10年間の推移です。
| 試験回 | 実施年 | 全体合格率 | 新卒合格率 |
|---|---|---|---|
| 第52回 | 2017年 | 90.3% | 96.3% |
| 第53回 | 2018年 | 81.4% | 87.7% |
| 第54回 | 2019年 | 85.9% | — |
| 第55回 | 2020年 | 86.4% | 93.2% |
| 第56回 | 2021年 | 79.0% | — |
| 第57回 | 2022年 | 79.6% | 88.1% |
| 第58回 | 2023年 | 87.4% | — |
| 第59回 | 2024年 | 89.2% | 95.3% |
| 第60回 | 2025年 | 89.6% | 95.2% |
| 第61回 | 2026年 | 89.7% | 94.9% |
(—は当該年度の新卒別データが公式発表に明記されていない回)
出典:厚生労働省「理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験の合格発表について」(第52回〜第61回各回)
この10年間のデータを見ると、合格率には大きく2つの落ち込みがあることがわかります。
第53回(2018年)は前年の90.3%から81.4%へと急落しました。
その後いったん回復したものの、第56回(2021年)・第57回(2022年)は再び79%台を記録しています。
第57回の低下については、新型コロナウイルス感染拡大の影響で養成校の実習や学習環境が大きく変化した時期と重なっていたことが背景の1つとして考えられます。
第58回(2023年)以降は回復傾向が鮮明になり、第59回から第61回にかけては3年連続で89%以上を維持しています。
近年の合格率は安定してきているといえますが、どの年度も受験者の約10%が不合格になっているという事実は変わりません。
合格率の高低は問題の難易度だけでなく、学習環境の変化や受験者層の構成によっても変動します。
過去の数値を参考にしながらも、自分自身の準備状況を基準に判断することが大切です。
理学療法士国家試験は、新卒と既卒で合格率に大きな差が生じる試験です。
直近のデータでは、新卒合格率が95%前後を維持している年度でも、既卒合格率は30〜60%台にとどまっています。
厚生労働省が発表している直近3回のデータを比較すると、その差の大きさがよくわかります。
| 試験回 | 全体合格率 | 新卒合格率 | 既卒合格率 |
|---|---|---|---|
| 第59回(2024年) | 89.2% | 95.3% | 33.8% |
| 第60回(2025年) | 89.6% | 95.2% | 61.7% |
| 第61回(2026年) | 89.7% | 94.9% | — |
出典:厚生労働省「理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験の合格発表について」(第59・60・61回)
この差が生まれる最大の理由は、学習環境の違いにあります。
現役の学生は、養成校が用意する国家試験対策の授業・模擬試験・個別指導を活用しながら準備を進められます。
卒業後に再受験を目指す場合は、こうした組織的なサポートを受けにくくなります。
仕事と勉強を両立しながら独学で対策する形になることが多く、学習時間の確保や出題傾向の把握という点で不利な条件が重なりやすいのです。
第59回(2024年)の既卒合格率が33.8%と低かった背景には、コロナ禍での養成課程の変化が影響した世代の既卒受験が集中したと考えられています。
第60回(2025年)の61.7%への上昇は、国家試験対策を専門とする予備校やオンライン学習サービスの普及が既卒受験者の学習環境を底上げしていることも一因とみられます。
理学療法士国家試験は、在学中の1回目の受験で合格することを最優先の目標に置くのが、最も現実的で合格に近い選択肢といえるでしょう。

理学療法士国家試験は、年1回・2月下旬に実施される全200問のマークシート試験です。
一般問題と実地問題に分かれており、2つの合格基準をどちらも満たす必要があります。
試験の全体像を正確に把握しておくことは、対策の優先順位を決めるうえで欠かせません。
科目の構成や配点の仕組みを理解してから勉強を始めると、学習効率が大きく変わります。
理学療法士国家試験は、一般問題と実地問題の2種類で構成されており、合計200問が出題されます。
厚生労働省が定める試験科目の区分は以下のとおりです。
これを問題数と配点に落とし込むと、以下のような構成になります。
| 区分 | 問題数 | 配点 | 満点(通常) |
|---|---|---|---|
| 一般問題 | 160問 | 1問1点 | 160点 |
| 実地問題 | 40問 | 1問3点 | 120点 |
| 合計 | 200問 | — | 280点 |
試験は午前と午後に分かれており、各100問を160分かけて解きます。
合計320分の長丁場の試験です。
解答方式はすべてマークシートによる選択式で、選択肢5つの中から正しいものを1つまたは2つ選ぶ形式です。
理学療法士国家試験の科目を見ると、一般問題の8科目のうち解剖学・生理学・病理学概論などは作業療法士国家試験と共通の問題として出題されます。
これは、医療専門職として共通して必要な基礎医学の知識が問われるためです。
実地問題は一般問題よりも問題数が少ないものの、1問あたりの配点が3点と高く設定されています。
実地問題5科目のうち理学療法が大きな比重を占めており、臨床推論の力が直接問われる設計になっています。
理学療法士国家試験の合格基準は、総得点と実地問題の2つを同時に満たす必要があります。
通常の基準点(採点除外ゼロの場合)は以下のとおりです。
| 基準 | 合格点 | 満点 | 必要正答率 |
|---|---|---|---|
| 総得点 | 168点以上 | 280点 | 約60% |
| 実地問題 | 43点以上 | 120点 | 約36% |
理学療法士国家試験は絶対評価制を採用しています。
絶対評価とは、あらかじめ定められた合格基準点を超えた全員が合格となる評価方式のことです。
受験者数が多くても少なくても基準点は変わらないため、他の受験者との競争ではなく、自分が基準点をクリアできるかどうかが問われます。
注意が必要なのは、毎年採点除外問題が発生する点です。
不適切と判断された問題は採点対象から外れるため、満点と合格基準点がその分だけ変動します。
第61回(2026年)の実際の合格基準を例に挙げると、8問が採点除外となったため満点が277点に変動し、合格基準も167点以上に調整されました。
| 第61回(2026年)実際の基準 | 合格点 | 満点 |
|---|---|---|
| 総得点 | 167点以上 | 277点 |
| 実地問題 | 41点以上 | 117点 |
出典:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」(令和8年3月)
この足切りルールが、試験対策における最大の落とし穴です。
一般問題で十分な得点を積み上げても、実地問題が基準に届かなければ不合格になります。
実地問題の合格基準は約36%と一見低く見えますが、1問3点という配点の大きさから、1問のミスが3点分の失点になる点を忘れてはなりません。
実地問題の足切りを避けるためには、臨床推論の問題を得点源にできる水準まで理解を深めることが求められます。
丸暗記ではなく、症例を見て評価・治療を選択できる思考力を養う学習が必要です。
理学療法士国家試験の難しさは、単純な暗記量の多さだけではありません。
科目によって問われる思考の深さが異なり、得点しにくい科目には共通した理由があります。
得点が安定しにくい科目とその理由を整理すると、以下のとおりです。
実地問題(理学療法・臨床医学大要)
配点が最も重い区分です。
1問3点という配点に加え、症例提示をもとに評価手順・治療方針・福祉用具を組み合わせて判断させる問題が出題されます。
単一の知識ではなく、複数の科目をまたいだ統合的な理解が求められるため、知識があっても正答を導けないケースが生じます。
暗記量の多さと細かさが受験生の負担になりやすい科目です。
筋の起始・停止、神経支配の名称、骨の突起の位置など、覚えるべき固有名詞が多く、似た名称が多いことから混乱しやすくなります。
特に末梢神経の分枝レベルや脊髄分節の対応については、出題頻度が高く正確な記憶が求められます。
関節角度の計算やモーメントアームの問題など、数値を扱う問題が含まれます。
力学の基礎知識が不足していると得点が難しく、文系背景の受験生が特に苦労しやすい分野です。
METsの計算も内部障害系の問題として出題されることがあります。
内部障害系(循環器・呼吸器・代謝疾患)
整形外科系と比べて臨床実習での接触機会が少ない領域であり、疾患の病態・検査値・リスク管理のルールを体系的に学ぶ必要があります。
心不全、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病に関連したリハビリ適応・禁忌の判断が問われます。
小児理学療法・発達
正常発達の月齢・年齢ごとのマイルストーンと、脳性麻痺などの小児疾患の特徴を覚える必要があります。
実習での関わりが少ないぶん、イメージがつかみにくく後回しになりやすい科目です。
得点しにくい科目に共通しているのは、知識の暗記だけでは解けない問題が多い点です。
問題を解きながら理解を深めていく反復演習が、最終的には最も有効な対策になります。

理学療法士国家試験の合格率89.7%(第61回・2026年)は、医療系国家資格の中では高い水準に位置しています。
試験の仕組みの違いを踏まえながら、他の医療系国家資格との難易度の差を整理していきましょう。
リハビリ職3資格の合格率を比べると、理学療法士と作業療法士はほぼ同水準で、言語聴覚士は明らかに低い水準にあります。
直近(2026年)の3資格の結果は以下のとおりです。
| 資格 | 試験回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 理学療法士 | 第61回(2026年) | 12,436人 | 11,156人 | 89.7% |
| 作業療法士 | 第61回(2026年) | 5,426人 | 4,947人 | 91.2% |
| 言語聴覚士 | 第28回(2026年) | 2,187人 | 1,453人 | 66.4% |
出典:厚生労働省「各資格国家試験の合格発表について」(2026年3月)
理学療法士と作業療法士は同日に試験が実施され、問題の100問が共通です。
試験の構造もほぼ同じで、一般問題160問と実地問題40問の計200問、1問3点の足切りルールも共通しています。
合格率の差は数ポイント程度であり、両者の難易度は非常に近い水準といえます。
注意が必要なのは、作業療法士のほうが受験者数が少ないという点です。
理学療法士の受験者数が約12,400人であるのに対し、作業療法士は約5,400人です。
受験者の母集団が小さい資格では、年度ごとに合格率がやや振れやすい傾向があります。
言語聴覚士は、合格率が60%台と理学療法士より約23ポイント低く、相対的に難易度が高い試験です。
理由は試験の設計の違いにあります。
言語聴覚士国家試験は実地問題が設けられておらず、200問すべてが1問1点の一般問題で構成されています。
合格基準は200点満点中120点以上(60%以上)ですが、出題範囲が基礎医学・臨床歯科医学・音声言語聴覚医学・心理学・社会福祉など非常に広く、暗記すべき知識量が膨大です。
また、言語聴覚士の養成校は理学療法士に比べて数が少なく、国家試験対策の体制が整っている学校とそうでない学校との差が大きいことも、全体的な合格率を押し下げている要因とされています。
看護師・柔道整復師・鍼灸師(はり師)の合格率と理学療法士を並べると、各資格の難易度の位置関係が見えてきます。
直近(2026年)の各資格の結果は以下のとおりです。
| 資格 | 試験回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 看護師 | 第115回(2026年) | 約65,000人 | 約57,400人 | 88.3% |
| 理学療法士 | 第61回(2026年) | 12,436人 | 11,156人 | 89.7% |
| 柔道整復師 | 第34回(2026年) | 4,434人 | 3,170人 | 71.5% |
| はり師 | 第34回(2026年) | 3,920人 | 2,634人 | 67.2% |
出典:厚生労働省「各資格国家試験の合格発表について」(2026年3月)
看護師国家試験は合格率88.3%と理学療法士と近い水準ですが、試験の規模と内容には大きな違いがあります。
看護師試験は必修問題・一般問題・状況設定問題の3種類で構成され、問題数は298問と理学療法士より約100問多くなります。
加えて、出題範囲が基礎看護学・成人看護学・老年看護学・小児看護学・母性看護学・精神看護学・在宅看護など非常に広い点が特徴です。
問題数と範囲の広さという点では、理学療法士よりも負担が大きいといえます。
柔道整復師の合格率は71.5%(第34回・2026年)ですが、注意が必要なのはこの数値が年度によって大きく変動する点です。
前年の第33回は57.8%、第31回は49.6%と低水準だった一方、今年は71.5%と大幅に上昇しています。
柔道整復師国家試験は過去5年間で49〜71%台まで幅があり、受験対策の充実度と難易度の変動が合格率に強く反映される試験といえます。
鍼灸師(はり師)の合格率は67.2%(第34回・2026年)で、理学療法士と比べると約22ポイント低い水準です。
試験は250問(基礎科目・専門科目)で構成され、東洋医学・経穴・臨床医学と広い範囲の知識が求められます。
また、試験対策の書籍や予備校のリソースが理学療法士と比べて少ない環境も、合格率の差に影響しています。
合格率のみで難易度を比較すると、リハビリ職3資格と看護師が80%台後半に集まる高合格率グループを形成しており、柔道整復師・鍼灸師・言語聴覚士は60〜70%台のグループに位置しています。
理学療法士は医療系国家資格の中でも合格率が高い部類に入ることを踏まえると、適切な準備ができれば十分に合格が狙える試験といえるでしょう。

結論からいうと、高校時代の学力や偏差値と理学療法士国家試験の合否には、統計的に有意な相関関係は認められていません。
養成校入学後にどれだけ準備したかのほうが、合否を左右する要因として強く働きます。
頭が良くないと合格できないのではないかと不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
データと試験の仕組みから整理すると、その不安は多くの場合、根拠のないものだとわかります。
理学療法士養成校への入学時の学力と、国家試験の合否は必ずしも比例しません。
CiNii Researchに収録された学術論文では、2017年から2021年度に入学した理学療法学専攻学生38名を対象に、入試区分・入試成績と国家試験合否との関連性を分析した研究結果が報告されています。
その結果、入試成績や入試区分と国家試験の合否との間に有意な相関関係は認められませんでした。
つまり、入学時の成績が低くても高くても、国家試験の合否にはほとんど関係しないことが示されています。
同研究では、国家試験合否と有意に関連していたのは模擬試験の成績と在学中のGPAであり、特に専門理学療法教育科目と教養教育系科目の成績が関連していたと報告されています。
また、養成校の偏差値と国家試験合格率の関係についても、偏差値の高い国公立大学で合格率が高い傾向はあるものの、偏差値50未満の養成校でも80〜90%の合格率を保っている大学が複数存在します。
理学療法士養成校の偏差値の幅を整理すると以下のとおりです。
| 養成校の種別 | 偏差値の目安 |
|---|---|
| 国公立大学 | 50台後半〜60台 |
| 私立大学(上位) | 50〜60台 |
| 私立大学(標準) | 40台〜50台 |
| 専門学校 | 偏差値概念なし(基礎学力と面接で評価) |
このデータが示すのは、理学療法士になるためのルートは学力上位者だけに限定されていないという事実です。
専門学校では学科試験に加えて面接や小論文で学習意欲を評価するケースが多く、学力よりも目的意識が重視されます。
理学療法士国家試験に合格するうえで重要なのは、養成校での3〜4年間にどれだけ知識を積み上げたかという点です。
先述の学術論文では、合格群と不合格群を比較した際に、高学年の専門科目のみならず、解剖学や生理学など入学初期に学ぶ基礎科目の成績も国家試験合格と関連していたことが報告されています。
国家試験に出題される内容は、養成校で習う科目から過不足なく出題されており、特別な天才的思考力は必要ありません。
第61回(2026年)の新卒合格率94.9%(大学新卒に限ると96.6%)というデータは、カリキュラムをきちんと履修して卒業を迎えた受験者の約95%が合格できることを示しています。
養成課程で学べる内容を着実に身につけることが、合格への最も確実な道筋といえます。
合格した人と不合格になった人の差を分けるポイントは以下の4つに集約されます。
地頭の良し悪しではなく、こうした準備の質と量が合格を左右しているのです。
理学療法士国家試験は、他の受験者と点数を競い合う相対評価ではなく、一定の基準点を超えれば全員が合格できる絶対評価制を採用しています。
合格に必要な得点率は総得点の約60%です。
280点満点(通常)のうち168点以上を取れれば合格となります。
他の受験者が何点取ろうとも、自分が基準点をクリアしていれば合格できます。
上位何%に入らなければいけないという競争はありません。
たとえば医師国家試験では合格者数が約9,000人に調整されますが、理学療法士国家試験はそのような定員制はなく、基準を超えた人全員が合格します。
この仕組みが、平均的な学力の受験者にとっても合格しやすい環境を作り出しています。
学力に不安を感じている人に向けて、現実的な見通しを整理しておきます。
理学療法士を目指せる養成校の間口は広く、偏差値40台の私立大学や面接中心の専門学校からも毎年多数の合格者が出ています。
国家試験の合格点は60%であり、過去問を中心に苦手科目を丁寧につぶしていけば、学力的なハンデは十分に埋められる水準です。
不合格になるリスクが高いのは、頭が悪い人ではなく、養成課程での学習を後回しにし続けた人や、苦手科目を放置したまま本番を迎えた人です。
準備の量と質を確保できれば、多くの人に合格の可能性が開かれている試験です。

理学療法士国家試験で不合格になりやすいのは、学力が低い人ではなく、準備の進め方に特定のパターンがある人です。
合格率が90%近い試験で不合格になる人には、共通した落とし穴があります。
不合格のパターンを事前に把握しておくことが、同じ失敗を避けるための最初の一歩になります。
理学療法士国家試験で不合格になる人に共通するパターンは、大きく5つに分類できます。
実地問題は1問3点と配点が重いにもかかわらず、総得点の60%突破だけを意識して対策を進めてしまうケースがあります。
一般問題で高得点を積み上げても、実地問題が合格基準の約36%に届かなければ不合格です。
実地問題は40問しかないため、1問のミスが3点の失点に直結します。
総得点には余裕があっても実地足切りで不合格になるケースは、現場でも珍しくありません。
小児理学療法・内部障害(循環器・呼吸器・代謝疾患)・精神医学・運動学の計算問題は、苦手意識を持ちやすい科目です。
前述のCiNii Researchの研究でも、精神医学や小児疾患理学療法学などの科目の成績が国家試験合否と強く関連していたと報告されています。
臨床実習での接触機会が少ない領域ほど後回しになりやすく、直前期に手が回らないまま本番を迎えてしまいます。
過去問演習は必須ですが、答えだけを覚えても本番では通用しません。
理学療法士国家試験では同じ概念を別の切り口で問う類題が繰り返し出題されます。
解答の番号を覚えるのではなく、なぜその選択肢が正答なのかを理解したうえで過去問を活用することが合格への道筋です。
模擬試験は自分の弱点を把握するための最も有効なツールです。
しかし試験を受けただけで復習をしない、あるいはそもそも模擬試験の受験機会自体を逃しているケースがあります。
養成校が提供する複数回の模擬試験は、本番に近い状況で自分の実力を確認する貴重な機会です。
受験後の復習こそが模試の本当の価値です。
国家試験の準備を最終学年の1月から始めた場合、200問分の範囲を網羅するには時間が足りません。
養成校が設けている国家試験対策期間(多くは3年次後半〜4年次)を活用し、模擬試験のサイクルに合わせて弱点を潰していく計画的な準備が必要です。
特に解剖学・生理学などの基礎科目は1〜2年次から積み上げがあることが前提になっており、直前の詰め込みでは対応しきれない出題が含まれます。
既卒受験者の合格率が新卒と比べて大幅に低くなる理由は、学力の差ではなく学習環境と条件の差にあります。
直近のデータを見ると、新卒と既卒の合格率の開きは非常に大きくなっています。
| 試験回 | 新卒合格率 | 既卒合格率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 第59回(2024年) | 95.3% | 33.8% | 約61ポイント |
| 第60回(2025年) | 95.2% | 61.7% | 約33ポイント |
出典:厚生労働省「理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験の合格発表について」(第59・60回)
既卒者の合格率がこれほど低い主な理由は以下の3点に整理できます。
新卒受験者は養成校が提供する国家試験対策授業・学内模擬試験・個別指導の体制の中で準備を進められます。
卒業後は自分で学習計画を立て、弱点を自分で把握し、自分で対策を取る必要があります。
組織的なサポートの有無は、準備の質に大きく影響します。
卒業後に就職しながら再受験する場合、フルタイムの業務をこなしたうえで毎日の学習時間を確保しなければなりません。
臨床の業務に慣れるだけで精神的な負荷が大きい時期に、国家試験対策を並行することは容易ではありません。
在学中に学んだ知識の忘却
試験範囲の知識の多くは、養成校のカリキュラムが終わった直後が最も記憶に定着している状態です。
時間が経過するほど知識が薄れ、特に基礎科目(解剖学・生理学・運動学)は復習なしには再現できなくなっていきます。
第59回(2024年)の既卒合格率33.8%から第60回(2025年)の61.7%へと大幅に上昇した背景には、国家試験対策に特化した予備校やオンライン学習サービスが既卒受験者の学習環境を補いはじめていることがあります。
既卒での再挑戦を考えている場合は、こうした外部サービスを積極的に活用することが合格率を高めるうえで有効です。
不合格になった経験がある人も、敗因のパターンを特定できれば次の受験での合格に近づけます。
合格率が回復傾向にある近年のデータは、正しい準備をすれば既卒でも合格できることを示しています。

理学療法士国家試験に合格するための勉強法は、闇雲に多くの参考書をこなすことではなく、過去問を軸に弱点科目を計画的に潰していく準備が最も有効です。
試験の構造に合わせた学習戦略を持つことが、短期間で得点力を高める近道となります。
理学療法士国家試験の準備に必要な勉強時間の目安は、養成校での対策期間の組み方や個人の習熟度によって異なりますが、国家試験の対策期間を通じて500〜1,000時間程度の学習量が必要とされることが、多くの養成校での指導経験から一般的に言われています。
名古屋学院大学リハビリテーション学部の取り組みを例に挙げると、4年生は10月中旬から国家試験対策教室を設け、業者の模擬試験を4回・学内模擬試験を3回実施したうえで、1月中旬からは過去10年間の国家試験過去問題に集中的に取り組んでいます。
この対策は卒業研究の作成と並行して進めるスケジュールです。
新卒受験者にとっての標準的な対策スケジュールを整理すると、以下のようになります。
| 時期 | 主な取り組み |
|---|---|
| 1〜3年次 | 解剖学・生理学など基礎科目の積み上げ、臨床実習 |
| 4年次 前期 | 国家試験対策の導入・模擬試験受験開始 |
| 4年次 10〜11月 | 本格的な国家試験対策開始・弱点科目の洗い出し |
| 4年次 12〜1月 | 苦手分野の集中対策・過去問10年分の周回 |
| 4年次 2月(試験直前) | 総仕上げ・実地問題の最終確認 |
既卒受験者の場合は、養成校のサポートを受けられないため、この対策スケジュールを自力で組み立てる必要があります。
仕事と並行する場合でも、週20〜30時間程度の学習時間を確保できるかどうかが合否に大きく影響します。
勉強時間の総量と同じくらい重要なのが、学習内容の質です。
多くの時間をかけても出題傾向とずれた範囲を勉強していては得点に結びつきません。
模擬試験を活用して定期的に自分の弱点を把握し直すことが、限られた時間を有効に使うポイントです。
理学療法士国家試験の対策は、過去問を学習の中心に据えることが最も効率的です。
理学療法士国家試験は毎年200問が出題されますが、解剖学・生理学・運動学・リハビリテーション医学などの主要科目では類似した問いが繰り返し出題されます。
過去10年分の問題を解いて傾向を把握することで、出題頻度が高い領域と配点の重い実地問題の傾向が見えてきます。
過去問を使った効果的な進め方は、以下の順序が推奨されます。
まず、過去3年分の問題を通して解いて、自分が現時点でどの科目・分野に弱点があるかを把握します。
このとき答え合わせだけで終わらせず、不正解だった問題の解説を読んで、なぜ間違えたかを記録しておくことが重要です。
次に、弱点が判明した科目を中心に参考書や教科書で基礎知識を補強します。
答えを覚えるのではなく、問題の背景にある概念を理解することを意識してください。
解剖学であれば筋の起始・停止・神経支配の仕組みを体系的に理解し、運動学であれば力学的な原理から理解する姿勢が大切です。
弱点を補強したら、再び過去問(直近5〜10年分)を周回します。
模擬試験で得点率70%以上を安定して取れるようになれば、合格圏内の実力がついてきた目安になります。
実地問題については特別な対策が必要です。
実地問題は症例提示をもとに評価・治療方針を選ぶ形式であるため、単純な知識だけでは対応できません。
臨床実習で経験した症例と結びつけながら問題を解く練習を重ねると、臨床推論の精度が上がります。
苦手科目ごとの対策方針を整理すると以下のとおりです。
| 科目 | 効果的な対策 |
|---|---|
| 解剖学 | 図を見ながら反復暗記・部位ごとにまとめて覚える |
| 運動学(計算問題) | 公式を理解してから演習問題を繰り返す |
| 内部障害系 | 疾患の病態→リスク管理→運動処方の流れで整理 |
| 小児理学療法 | 正常発達のマイルストーンを時系列で暗記 |
| 実地問題 | 症例を読んで評価・治療の選択肢を論理的に絞る練習 |
理学療法士国家試験を独学で合格することは不可能ではありませんが、在学中の新卒受験と既卒の独学では、条件がまったく異なります。
新卒受験の場合、養成校に在籍しているかぎり独学というより養成校サポートとの組み合わせが前提になります。
授業・模擬試験・個別指導を最大限に活用したうえで、自習時間を上乗せするのが標準的な対策です。
この環境で準備できる新卒受験者の合格率は94.9%(第61回・2026年、厚生労働省)に達しており、サポート体制を活かせていれば独学かどうかという問いはあまり意味をなしません。
問題になるのは既卒での独学です。
養成校卒業後に自力で国家試験に再挑戦する場合、以下の点を正直に認識しておく必要があります。
既卒の独学が難しい理由は主に3点あります。
第1に弱点の把握が難しい点です。
模擬試験を自分で手配して受験しない限り、自分がどの科目でどの程度の得点力があるかを客観的に確認する機会がありません。
第2に学習計画の維持が難しい点です。
仕事の疲労や日常のストレスで学習が中断するリスクが高く、計画通りに進められる人は多くありません。
第3に情報不足の問題です。
最新の出題傾向や頻出分野の変化を自力でキャッチアップする必要があります。
こうした課題に対応するために、既卒受験者には国家試験対策を専門とする予備校やオンライン学習サービスの活用が有効です。
模擬試験・弱点分析・学習計画のサポートを受けられる環境を整えることで、独学のリスクを大幅に下げられます。
第60回(2025年)の既卒合格率が前年の33.8%から61.7%に大幅上昇した背景の一つには、こうした外部サービスの普及があるとみられています。
理学療法士国家試験の合格率は直近の第61回(2026年)で89.7%であり、医療系国家資格の中では合格しやすい部類に入ります。
新卒受験者に限ると94.9%に達しており、養成校のカリキュラムをしっかり履修して準備を整えれば、大多数の人が合格できる難易度です。
実地問題に足切りルールがあり、総得点が足りていても実地問題が基準以下なら不合格になります。
合格率の高さに安心しすぎず、足切りを意識した対策が必要です。
出典 厚生労働省 第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について(令和8年3月)
理学療法士国家試験の合格には、総得点と実地問題の2つの基準を同時に満たす必要があります。
通常は280点満点中168点以上(約60%)、かつ実地問題120点満点中43点以上が目安です。
ただし採点除外問題の数によって毎年変動します。
第61回(2026年)は採点除外が8問あったため、総得点277点満点中167点以上、実地問題117点満点中41点以上が合格基準でした。
受験する年度の正確な基準は厚生労働省の公式発表で必ず確認してください。
出典 厚生労働省 第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について(令和8年3月)
文系出身でも理学療法士国家試験に合格することは十分に可能です。
CiNii Researchに収録された学術論文では、入試成績や入試区分と国家試験合否との間に有意な相関関係は認められなかったと報告されています。
合否を左右するのは高校時代の学力ではなく、養成校での3〜4年間の準備の質と量です。
運動学の計算問題など理系の知識が問われる分野はありますが、養成校のカリキュラムで基礎から学べる構成になっており、文系出身者が特別に不利になるわけではありません。
理学療法士と作業療法士の国家試験は、難易度がほぼ同等です。
両者は同日に試験が実施され、問題の100問が共通問題として出題されます。
試験の構造(一般問題160問・実地問題40問・計200問)も同じです。
直近の第61回(2026年)の合格率は理学療法士が89.7%、作業療法士が91.2%と近い水準で推移しています。
どちらが特別に難しいという明確な差はなく、どちらを目指すかは仕事内容の違いと自分の関心で判断するとよいでしょう。
出典 厚生労働省 第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について(令和8年3月)
在学中の新卒受験であれば、実質的には養成校のサポートを受けながら準備するのが標準です。
養成校の授業・模擬試験・個別指導を活用したうえで自習を加えることで、新卒合格率94.9%という高い水準が実現しています。
卒業後の既卒者が完全に独学で合格を目指すことは不可能ではありませんが、弱点把握・学習計画の維持・情報収集の面で難しさがあります。
既卒で再挑戦する場合は、国家試験対策を専門とする予備校やオンライン学習サービスを活用することで合格率を高められます。
不合格になった場合は翌年以降に再受験できます。
受験回数に上限はなく、何度でも挑戦できます。
既卒受験での合格率は新卒と比べて大幅に低くなります。
第59回(2024年)の既卒合格率は33.8%、第60回(2025年)は61.7%でした。
不合格後は早めに敗因を分析し、実地問題の足切りか・苦手科目の放置か・準備時間の不足かを特定したうえで次の対策を立てることが重要です。
養成校在学中に合格できなかった場合は、外部の対策サービスの活用も選択肢として検討するとよいでしょう。
出典 厚生労働省 理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験の合格発表について(第59・60回)
解剖学・生理学などの基礎科目は1〜2年次から丁寧に積み上げることが理想です。
国家試験対策として意識的に過去問や模擬試験に取り組み始める時期の目安は、4年次の夏〜秋頃(10月前後)です。
養成校によっては10月中旬から国家試験対策教室を開設して本格的な準備を始めるスケジュールを組んでいます。
1月以降に初めて過去問に触れるようでは、200問分の広い範囲を網羅するには時間が不足するリスクがあります。
模擬試験を複数回受験して弱点を洗い出し、苦手科目から逃げない準備計画を早めに立てることをすすめます。
参考資料