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作業療法士の国家試験が難しいのかどうかは、これから目指す人にとって最初に気になるポイントのひとつです。
全体の合格率は毎年80〜90%台を推移しており、医療系国家試験のなかでは比較的取得しやすい部類に入ります。
しかし注目すべきは、新卒者の合格率が96.6%であるのに対し、既卒者は49.8%にとどまるという大きな差です。
試験の難しさは誰が受験するかによって大きく変わります。
本記事では、合格率の推移・他職種との比較・試験内容・効率的な勉強法・養成校への入学難易度・社会人からの目指し方まで、作業療法士の難易度を網羅的に解説します。

先に結論をお伝えすると、作業療法士国家試験の合格率は例年80%台後半から90%超で推移しており、医療系国家試験のなかでは難易度が中程度に位置する試験です。
難しそうで受験をためらっている人もいるのではないでしょうか。
厚生労働省が発表した第61回(2026年)の合格発表データでは、全体合格率は91.2%と過去6年間で最も高い水準を記録しました。
在学中に受験する新卒者と卒業後に再挑戦する既卒者とでは合格率に大きな差があるため、自分がどちらの立場で受験するかによって、難易度の受け止め方が変わってきます。
受験を目指す段階から、この試験の特性を正確に把握しておくとよいでしょう。
作業療法士国家試験の合格率は、過去6年間で最低81.3%、最高91.2%の範囲で推移しており、概ね80%台中盤から後半が通常の水準といえます。
厚生労働省が公表しているデータをもとに、直近6年間の合格率と不合格率を整理しました。
| 試験回 | 実施年 | 合格率 | 不合格率 |
|---|---|---|---|
| 第56回 | 2021年 | 81.3% | 18.7% |
| 第57回 | 2022年 | 88.7% | 11.3% |
| 第58回 | 2023年 | 83.8% | 16.2% |
| 第59回 | 2024年 | 84.4% | 15.6% |
| 第60回 | 2025年 | 85.8% | 14.2% |
| 第61回 | 2026年 | 91.2% | 8.8% |
出典:厚生労働省「理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験の合格発表について」(第56回〜第61回)
6年間の合格率は平均するとおよそ85.9%です。
第61回の91.2%は例年より高い数値ですが、2021年には81.3%まで低下した年もあります。
合格率が高い年と低い年があることを念頭に置き、特定の年度だけを参考にして油断しないよう注意が必要です。
注目したいのが、新卒者と既卒者の合格率の差です。
第61回の内訳を見ると、新卒者の合格率は96.6%であるのに対し、既卒者は49.8%にとどまります。
受験者全体の88.5%が新卒者であるため、全体の合格率は高く算出される構造になっています。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 5,426人 | 4,947人 | 91.2% |
| 新卒者 | 4,801人 | 4,636人 | 96.6% |
| 既卒者 | 625人 | 311人 | 49.8% |
出典:厚生労働省「第61回作業療法士国家試験合格発表について」(2026年3月)
卒業後に年数が経過した状態で再受験する場合は、全体の合格率をそのまま参考にするのではなく、既卒者の合格率を現実の目安として受け止めるとよいでしょう。
既卒者のうちおよそ2人に1人が不合格になっているという数字は、やはり試験の難しさを示すものです。
新卒のうちにしっかりと準備を整えることが、最も合格への近道といえます。
作業療法士国家試験は全200問で構成されており、合格の目安となる正答率は約60%です。
問題は一般問題と実地問題の2種類に分かれています。
理学療法士との共通問題100問に加えて、作業療法士専門問題100問が出題されます。
配点は一般問題と実地問題で異なるため、試験の構成を事前に把握しておくことが大切です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験問題数(合計) | 200問 |
| 理学療法士・作業療法士共通問題 | 100問 |
| 作業療法士専門問題 | 100問 |
| 一般問題の配点 | 1問1点(158点満点) |
| 実地問題の配点 | 1問3点(120点満点) |
| 総得点の合格基準(第61回) | 167点以上 / 278点 |
| 実地問題の合格基準 | 43点以上 / 120点 |
| 合格に必要な正答率の目安 | 約60% |
出典:厚生労働省「第61回作業療法士国家試験合格発表について」(2026年3月)
過去5年間の合格基準点は165点〜168点の範囲で安定しており、毎年の難易度に応じて微調整されていますが、大幅な変動はみられない傾向です。
| 試験区分 | 実施時間 | 試験時間 |
|---|---|---|
| 午前(筆記) | 9時50分〜12時30分 | 2時間40分 |
| 午後(筆記) | 14時20分〜17時00分 | 2時間40分 |
試験は例年2月下旬の1日に実施されます。
重度視力障害者のみ、翌日に口述・実技試験が行われます。
午前・午後あわせると5時間以上に及ぶ長時間の試験であるため、集中力を持続させるための体調管理も準備の一環と捉えておくとよいでしょう。
合格には、総得点の基準を満たすと同時に、実地問題の最低得点基準を両方クリアすることが必要です。
どちらか一方だけを重点的に対策する学習計画は推奨できません。
受験手数料は10,100円で、願書受付後の返還はありません。

先に結論をお伝えすると、作業療法士国家試験の合格率は医療系・福祉系国家試験のなかでも高い部類に属しており、リハビリ専門職3職種のなかでは理学療法士とほぼ同水準、言語聴覚士よりは明らかに取得しやすい位置づけです。
どの職種と比べているか、そして全体合格率と新卒合格率のどちらを見ているかによって、印象が大きく変わります。
各職種の違いを正確に理解した上で、作業療法士という資格がどの程度の難易度に位置するかを判断するとよいでしょう。
リハビリ専門職3職種の国家試験を比較すると、作業療法士と理学療法士は合格率がほぼ同水準であり、言語聴覚士は明確に難易度が高い試験です。
以下の表に、2026年度の3職種の国家試験結果を整理しました。
すべて厚生労働省の合格発表データに基づく数字です。
| 職種 | 試験回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(全体) | 合格率(新卒) |
|---|---|---|---|---|---|
| 作業療法士 | 第61回 | 5,426人 | 4,947人 | 91.2% | 96.6% |
| 理学療法士 | 第61回 | 12,436人 | 11,156人 | 89.7% | 94.9% |
| 言語聴覚士 | 第28回 | 2,187人 | 1,453人 | 66.4% | ー |
出典:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」(2026年3月)、厚生労働省「第28回言語聴覚士国家試験の合格発表について」(2026年3月)
作業療法士と理学療法士は、同日・同一会場で試験が行われ、前半100問が共通問題、後半100問が各職種の専門問題という同じ試験構成を取っています。
合格率も全体で約1.5ポイントの差にとどまっており、難易度の水準はほぼ同等です。
作業療法士の専門問題には、日常生活活動や精神障害への作業的アプローチ、義肢・装具など、作業療法固有の領域が出題されます。
言語聴覚士は、合格率が66.4%と作業療法士と比べて約25ポイント低く、リハビリ3職種のなかで最も難易度が高い試験です。
この差が生まれる主な理由は、試験科目の幅の広さにあります。
厚生労働省が定める試験科目数は、作業療法士・理学療法士が7科目であるのに対し、言語聴覚士は12科目に及びます。
言語聴覚士の試験では、言語学・音声学・音響学・心理測定法など、他のリハビリ職では出題されない専門性の高い領域が加わります。
これらは臨床実習ではカバーしきれない理論系の内容が多く、在学中の学習負担が重くなりやすい傾向があります。
作業療法士の試験でも決して簡単とはいえませんが、科目構成の点では言語聴覚士よりも取り組みやすい設計になっているといえます。
また、言語聴覚士国家試験の過去5年間の合格率は66〜75%の範囲で推移しており、作業療法士の83〜91%とは明確に水準が異なります。
リハビリ系資格を複数検討している場合には、この差を念頭に置いて進路を選ぶとよいでしょう。
看護師と介護福祉士の国家試験を作業療法士と比較すると、合格率の近さと試験の実質的な難しさは別物であることがわかります。
以下の表に、2026年度の3職種の試験結果を整理しました。
| 職種 | 試験年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(全体) | 合格率(新卒) |
|---|---|---|---|---|---|
| 作業療法士 | 2026年 | 5,426人 | 4,947人 | 91.2% | 96.6% |
| 看護師 | 2026年 | 59,614人 | 52,666人 | 88.3% | 94.1% |
| 介護福祉士 | 2026年 | 78,469人 | 54,987人 | 70.1% | ー |
出典:厚生労働省「第115回看護師国家試験の合格発表について」(2026年3月)、公益財団法人社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験 合格発表」(2026年3月)
看護師国家試験の合格率は88.3%で、作業療法士の91.2%と近い水準に見えます。
しかし受験者数は作業療法士の約11倍にあたる59,614人であり、試験の規模も出題範囲も大きく異なります。
看護師試験は必修問題・一般問題・状況設定問題の3種類で構成され、全体の問題数も多い設計です。
新卒合格率でみると、作業療法士が96.6%、看護師が94.1%と、作業療法士の方がわずかに高い数字です。
介護福祉士は合格率70.1%と3職種のなかで最も低く、作業療法士との差は約21ポイントあります。
在職しながら受験するケースが多いことも、全体合格率を下げる要因の一つと考えられます。
3職種を比較して理解しておきたいのが、合格率は受験者の構成によって左右されるという点です。
養成校のカリキュラムを修了した直後に受験する新卒者が大多数を占める職種は、必然的に合格率が高くなります。
作業療法士の91.2%という合格率は、新卒者中心の試験構造によるところが大きく、試験内容そのものの難易度を直接示しているわけではありません。
作業療法士として働く立場から実感するのは、国家試験で問われる内容は決して浅くないという点です。
解剖学・生理学から精神医学・神経学まで、幅広い基礎医学と作業療法固有の評価・治療理論が問われます。
合格率の高さに安心して勉強量を減らすのではなく、国家試験の出題水準に正面から向き合う準備が求められます。

作業療法士国家試験の出題内容は、厚生労働省が定める令和6年版理学療法士作業療法士国家試験出題基準に基づいており、理学療法士との共通問題100問と作業療法士専門問題100問の合計200問で構成されています。
この出題基準は社会状況の変化に応じて改正されており、2024年から施行された令和6年版では専門問題に新科目が追加されました。
試験を受ける前に、どの科目からどのような問題が出題されるのかを正確に把握しておくことが、効率的な学習につながります。
作業療法士国家試験の200問は、一般問題と実地問題の2種類に分かれており、配点が大きく異なります。
一般問題は1問1点(160問で160点満点)であるのに対し、実地問題は1問3点(40問で120点満点)と、実地問題1問が一般問題の3倍の配点を持ちます。
実地問題はOT専門問題のうち、午前・午後それぞれの冒頭20問ずつに配置されており、合計40問です。
症例や画像・表を用いた臨床場面に基づく設問が多く、単純な知識の暗記だけでは対応しにくい構成になっています。
| 問題区分 | 問題数 | 配点 | 満点 | 出題場所 |
|---|---|---|---|---|
| 一般問題 | 160問 | 1問1点 | 160点 | 共通問題+専門問題 |
| 実地問題 | 40問 | 1問3点 | 120点 | OT専門問題(各時間冒頭20問) |
| 合計 | 200問 | ー | 280点 | ー |
出典:厚生労働省「第61回作業療法士国家試験合格発表について」(2026年3月)
問題の出題形式は、多くが5肢択一です。
ただし一部に5肢択二の問題も含まれており、2つの正答を選ぶ問題への対応も必要です。
試験時間は午前・午後それぞれ2時間40分(160分)で、各100問を解く構成です。
出題科目は、以下のとおりです。
理学療法士・作業療法士共通問題の科目(100問)は次のとおりです。
作業療法士専門問題の科目(100問)は次のとおりです。
共通問題の7科目は、理学療法士・作業療法士が同じ問題を解きます。
解剖学・生理学・運動学といった基礎医学から、内科・外科・精神科にわたる臨床医学まで幅広い知識が問われます。
専門問題は作業療法士固有の科目で、6科目が出題対象です。
令和6年版から加わった作業療法管理学では、職業倫理・職場管理・法規に関する内容が出題基準に追加されています。
合格には2つの基準を同時に満たすことが必要です。
第61回の場合、総得点は278点中167点以上、かつ実地問題は120点中43点以上が求められました。
実地問題の最低得点基準(43点/120点、正答率約36%)は、比較的低い水準に設定されているように見えますが、実地問題が不得意なまま放置すると足切りに引っかかる可能性があります。
作業療法士国家試験で受験生が最も苦戦しやすい分野は、作業療法評価学と作業療法治療学です。
これらはOT専門問題のなかで出題頻度が最も高く、かつ実地問題(1問3点)が集中して出題される領域でもあります。
作業療法評価学では、標準化された評価ツールの名称・内容・適用対象を正確に覚える必要があります。
MMSEやBARTHELインデックス、FIM、VMI、長谷川式認知症スケールといった多数の評価法が出題対象で、それぞれの用途・対象・スコアリング方法の違いを混同しないように整理することが求められます。
作業療法治療学では、身体障害・精神障害・発達障害・老年期障害という4領域にわたる治療アプローチが出題されます。
それぞれの疾患に対する具体的な介入手技や作業選択の根拠を問う問題は、表面的な暗記では正答に至りにくく、臨床推論の力が問われます。
義肢・装具に関する問題は、受験生が取り組みにくいと感じやすい分野の代表格です。
各種義手・義足の構造と機能、適合評価の手順、トレーニング方法が出題されます。
特に義手の操作訓練や適合判定に関する設問は、出題パターンが多様で対策の難易度が高めです。
また、共通問題の臨床医学大要も、出題範囲が広く対策に時間がかかる科目です。
内科・外科・整形外科・神経内科・精神科など多科目にわたる知識が問われるため、理解が浅いまま放置してしまいやすい傾向があります。
第61回(2026年)の試験は、過去問と類似した問題が多く出題されたとする評価があります。
単純な知識再現型の問題が中心でありながら、問われ方のパターンを変えて出題するケースが目立ちました。
このことから、過去問の丸暗記よりも概念や根拠を理解した上で問題形式の変化に対応できる学習が求められているといえます。
令和6年版出題基準から追加された作業療法管理学は、受験生にとって馴染みの薄い分野です。
職業倫理・組織管理・教育・法規を扱うこの科目は参考書の記載も少なく、過去問の蓄積が他科目に比べて乏しい点に注意が必要です。

作業療法士国家試験の合格に必要な勉強時間は、個人差がありますが目安として500〜800時間程度とされており、学習開始時期と1日の勉強時間の設定が合否を大きく左右します。
高い合格率の背景には、養成校が提供する国試対策のサポートがあります。
しかし、そのサポートを最大限に活かすには、自分自身でも計画的に勉強時間を確保することが不可欠です。
どの時期からどのくらい勉強すればよいかを具体的に把握した上で、学習を進めるとよいでしょう。
作業療法士国家試験の学習期間は、4年制大学では9月ごろから、3年制専門学校では10月ごろからの開始が目安です。
試験は例年2月下旬に実施されるため、本格的な学習期間は4〜6ヶ月程度となります。
以下の表に、学習時期ごとの1日の勉強時間の目安を示します。
| 学習時期 | 時期の目安 | 1日の勉強時間の目安 | 主な取り組み |
|---|---|---|---|
| 準備期 | 9〜10月 | 2〜3時間 | 全科目の概要把握・テキスト通読 |
| 基礎固め期 | 11〜12月 | 4〜5時間 | 科目別の過去問演習・弱点整理 |
| 集中強化期 | 1月 | 6〜8時間 | 苦手科目の重点対策・模試活用 |
| 直前期 | 2月上旬〜試験直前 | 4〜6時間 | 総復習・実地問題の反復演習 |
準備期に全科目の出題範囲を一通り確認することで、何をどの順番で勉強するかの優先順位がつきます。
この時期に優先順位をつけずに勉強を始めると、試験直前になっても手薄な科目が残ってしまうことがあります。
4年制と3年制では、臨床実習の終了時期が異なるため、学習開始のタイミングも変わります。
3年制専門学校の場合、実習終了が10月以降になるケースもあり、本格的な学習期間が4ヶ月程度に短縮されることがあります。
その場合は準備期の時間が取りにくい分、基礎固め期の密度を上げる必要があります。
1日の勉強時間を設定する際には、連続して長時間勉強するよりも、午前・午後・夜の3つのブロックに分けて取り組む方が集中力を維持しやすい傾向があります。
国家試験本番は午前・午後の2部制であるため、実際の試験の時間軸に合わせた学習リズムを作ることも、本番への準備として有効です。
学習の総時間数の目安は科目の得意不得意によって変わりますが、共通問題の基礎医学系(解剖学・生理学・運動学)が苦手な場合はこの領域に時間を多めに配分し、作業療法専門問題に自信がある場合は維持程度の演習にとどめるなど、自分の現状に合わせた配分が求められます。
作業療法士国家試験の対策において、過去問の演習が最も重要な学習手段です。
第61回(2026年)の傾向でも過去問と類似した問題が多く出題されており、過去問を繰り返し解いて問われ方のパターンに慣れることが合格への近道といえます。
過去問演習を進める際は、以下の順序で取り組むと効率的です。
過去問演習で注意したいのが、正答できた問題をそのまま理解済みと見なしてしまうことです。
5肢択一の問題では消去法で正解に至るケースがあり、正解した問題でも選択肢の根拠を言えるかどうかを確認する習慣が大切です。
解説を読む際は、誤りの選択肢がなぜ間違っているかまで確認するとより深い理解につながります。
実地問題への対策は、一般問題とは別に意識して行う必要があります。
実地問題は症例が提示され、評価の選択や治療方針の判断を問う形式が多いため、疾患ごとに評価→問題点の抽出→介入方針という思考の流れを体で覚えるような練習が効果的です。
参考書の選び方については、科目別のポイントを以下にまとめます。
| 科目カテゴリ | 学習の特性 | 参考書・教材の選び方 |
|---|---|---|
| 基礎医学系(解剖・生理・運動学) | 暗記量が多い | 図解が豊富なものを選ぶ |
| 臨床医学大要 | 広範な科目知識が必要 | 疾患別にまとまった一冊を活用 |
| 作業療法評価学 | 評価ツールの比較整理が必要 | 一覧表で整理できる教材を活用 |
| 作業療法治療学 | 疾患別に深い理解が必要 | 領域別に分けて段階的に学ぶ |
| 作業療法管理学 | 法規・倫理を含む | 出題基準を確認しながら対策 |
令和6年版出題基準から追加された作業療法管理学は、市販の参考書への収載が他科目に比べて遅れているケースがあります。
この科目については、厚生労働省が公表している出題基準の項目を確認し、職業倫理・関係法規の内容を中心に押さえておくとよいでしょう。
模擬試験(模試)は、12月から2月の間に複数回受けることをおすすめします。
模試を受けることで、時間配分の感覚を養えるほか、自分の苦手傾向を客観的なデータとして把握できます。
養成校が主催する校内模試に加え、外部の模試を活用することで、より広い問題のパターンに慣れることができます。

先に結論をお伝えすると、作業療法士国家試験の新卒合格率は90%台前半から後半で安定している一方、既卒合格率は30〜50%程度にとどまっており、両者の差は常に40〜60ポイント以上に及びます。
この差は単に勉強時間の多い少ないではなく、学習環境・サポート体制・試験情報へのアクセスといった構造的な要因によって生まれています。
全体合格率が毎年80〜90%台に見える理由は、受験者の大多数を占める新卒者の高い合格率によるものです。
この背景を理解することは、これから受験を目指す人にとっても、既卒で再挑戦を検討している人にとっても、現実的な準備の出発点となります。
厚生労働省が毎年公表している合格発表データから、新卒者と既卒者の合格率の推移を整理しました。
以下の表はすべて厚生労働省の合格発表資料をもとに算出しています。
| 試験回 | 実施年 | 全体合格率 | 新卒合格率 | 既卒合格率 | 新卒・既卒の差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第57回 | 2022年 | 80.5% | 88.7% | 34.5% | 約54ポイント |
| 第58回 | 2023年 | 83.8% | 91.3% | 44.3% | 約47ポイント |
| 第59回 | 2024年 | 84.4% | 約92% | 33.9% | 約58ポイント |
| 第60回 | 2025年 | 85.8% | 93.9% | 45.0% | 約49ポイント |
| 第61回 | 2026年 | 91.2% | 96.6% | 49.8% | 約47ポイント |
出典:厚生労働省「理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験の合格発表について」(第57〜61回)
5年間を通じて、新卒者の合格率は常に88%以上を維持しているのに対し、既卒者の合格率は33.9〜49.8%の範囲にとどまります。
既卒者のうち最大でも2人に1人しか合格できていないという事実は、全体の数字からは見えてきません。
もう一つ注目すべき点は、受験者に占める既卒者の割合です。
第61回では受験者5,426人のうち既卒者は625人(11.5%)にすぎません。
受験者の88.5%が新卒者であるため、全体の合格率は新卒者の高い合格率によって引き上げられる構造になっています。
仮に既卒者のみで合格率を計算すると、約50%前後という水準になります。
第57〜第58回の既卒合格率は、厚生労働省の合格発表データをもとに計算した数字です。
受験者全体から新卒者を差し引いた既卒者の受験人数・合格人数から算出しています。
既卒者の合格率は年度によってばらつきがあり、第59回(2024年)の33.9%から第61回(2026年)の49.8%まで変動しています。
この変動が試験の難易度の変化によるものか、既卒者の学習環境の変化によるものかは一概には言えません。
しかし、どの年においても既卒者の合格率が新卒者の半分以下であることは変わりません。
既卒者の合格率が低い主な要因は、養成校のサポートが得られなくなることにあります。
この構造的な不利を補う対策を意識することが、再挑戦での合格に直結します。
既卒者が合格しにくい背景には、以下の要因があります。
養成校在籍中は、授業・実習・模擬試験・教員からの個別サポートを受けながら学習できます。
しかし卒業後はこれらのサポートが一切なくなり、自分で学習環境を整えることが求められます。
疑問が生じても即時に質問できる相手がおらず、理解が曖昧なまま次の科目に進んでしまいがちです。
また、卒業後に就労している場合は仕事との両立が求められます。
平日に十分な学習時間を確保することが難しく、試験直前期に集中的な対策をとれないまま本番を迎えるケースが多くなります。
令和6年版出題基準への移行など、試験内容の変更情報が養成校のルートで届かなくなる点も既卒者には不利に働きます。
これらの課題を踏まえた上で、既卒者が取るべき具体的な対策は以下のとおりです。
まず、受験を決意した時点で模擬試験(模試)を受け、自分の現状の実力を客観的に把握することが出発点になります。
卒業後の時間の経過とともに基礎知識が薄れていることが多いため、弱点科目の把握を最初に行うとよいでしょう。
次に、学習環境の整備として、養成校の卒業生支援を確認することをおすすめします。
卒業生向けに自習室の利用や模試の受験機会を提供している養成校もあります。
また、理学療法士・作業療法士国家試験に特化した予備校や通信講座を活用することで、養成校のサポートに近い学習環境を再構築できます。
学習計画については、試験本番の5〜6ヶ月前を目安に開始することが現実的です。
既卒者は新卒者と比べて知識の抜け落ちが生じているため、基礎医学系の科目から丁寧に復習することが重要です。
| 既卒者の課題 | 対応策の例 |
|---|---|
| 養成校のサポートがない | 予備校・通信講座の活用、卒業生支援の確認 |
| 仕事との両立が困難 | 試験5〜6ヶ月前からの計画的な学習開始 |
| 情報収集が難しい | 厚生労働省の出題基準を直接確認 |
| モチベーション維持が難しい | 模試の結果を学習の指標として活用 |
| 知識の抜け落ちが生じている | 基礎医学系から順に復習し直す |
特に、実地問題への対策は再受験者にとっても重要です。
症例を読んで評価・介入を選択する思考プロセスは、離れると急速に鈍くなります。
過去問の実地問題だけを集めて定期的に解く習慣を維持することが、既卒者の合格率を底上げする鍵の一つといえます。

先に結論をお伝えすると、作業療法士養成校への入学難易度は、国公立大学と私立大学・専門学校で大きく異なり、国公立大学は偏差値45〜65程度、私立大学は偏差値40〜55程度、専門学校は学力よりも志望動機と適性が重視される入試が中心です。
全国には2024年時点で207校の作業療法士養成施設があり、選択肢は比較的多くあります。
大学か専門学校か、また3年制か4年制かによって修業年数・学費・取得できる学位が異なるため、進路を決める前に各ルートの特性を把握しておくとよいでしょう。
作業療法士を目指せる大学の入試難易度は、国公立と私立で大きく異なります。
国公立大学の作業療法士関連学科の偏差値はおよそ45〜65の範囲で分布しており、医学部保健学科に設置されている場合は偏差値50台後半〜65程度に達するケースもあります。
私立大学は偏差値40〜55程度の学校が多く、国公立大学よりも幅広い学力層を対象としています。
大学入試では、一般選抜(共通テスト利用を含む)、学校推薦型選抜、総合型選抜の3種類が主な入試形式です。
国公立大学を志望する場合は大学入学共通テストの受験が必要となることが多く、英語・数学・理科などの幅広い教科での対策が求められます。
専門学校は、大学のような偏差値ランキングが存在しません。
入試の主な形式はAO入試(総合型選抜)・推薦入試・一般入試で、小論文・面接・基礎学力試験(国語・数学・英語など)が中心です。
書類選考と面接での志望動機・適性の評価が大学入試と比べて大きなウェイトを占める傾向があります。
| 養成校の種類 | 偏差値の目安 | 主な入試形式 | 入試科目(目安) |
|---|---|---|---|
| 国公立大学 | 45〜65 | 一般選抜(共通テスト含む)、推薦 | 英語・数学・理科・国語など |
| 私立大学 | 40〜55 | 一般選抜、学校推薦型、総合型 | 英語・数学・理科(2〜3科目) |
| 3年制専門学校 | 偏差値なし | AO入試、推薦、一般 | 国語・数学・英語(1〜2科目)・面接 |
| 4年制専門学校 | 偏差値なし | AO入試、推薦、一般 | 国語・数学・英語(1〜2科目)・面接 |
作業療法士の養成校は定員割れを起こしている学校も一部あり、全体として見ると一般大学入試ほどの競争率の高さはありません。
高校の学力に不安がある場合は、専門学校から入学し国家試験合格を目指すルートが現実的な選択肢になります。
専門学校でも学校の指導力によって国家試験合格率に大きな差があるため、各学校の直近の合格率を入学前に確認することをおすすめします。
作業療法士になるルートの最大の違いは、修業年数と学費、そして卒業時に得られる学位です。
大学と専門学校のどちらを選ぶかは、将来のキャリア設計と費用・時間のバランスを考えて判断するとよいでしょう。
| 比較項目 | 国立大学(4年制) | 私立大学(4年制) | 3年制専門学校 | 4年制専門学校 |
|---|---|---|---|---|
| 修業年数 | 4年 | 4年 | 3年 | 4年 |
| 学費の目安(全課程) | 約250万円 | 550万〜750万円 | 400万〜550万円 | 500万〜650万円 |
| 取得できる学位 | 学士 | 学士 | 専門士 | 専門士 |
| 大学院進学のしやすさ | 可能(通常ルート) | 可能(通常ルート) | 条件付きで可能 | 条件付きで可能 |
出典:国立大学の授業料・入学金は文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」に基づく標準額、私立大学・専門学校の学費範囲は文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果」および首都医校・大阪医専・名古屋医専の公表資料をもとにした目安
国立大学は4年間の学費がおよそ250万円と、私立大学の約3分の1以下で取得できる点が最大のメリットです。
私立大学は国立大学より入試のハードルが低い分、学費は550万〜750万円と高くなります。
大学在籍中に学士号取得と並行して研究・演習を経験できる点は、将来的に大学院進学や研究職を視野に入れる人にとって利点になります。
3年制専門学校の最大のメリットは、最短3年で国家試験受験資格を得られる点です。
1年早く現場に出られるため、その分の収入を得ながらキャリアをスタートさせることができます。
実習時間が多く組まれている学校が多く、即戦力として就職しやすい傾向があります。
注意点として、専門学校を卒業しても学士号は取得できません。
将来的に大学院への進学を希望する場合や、役職・研究職を目指す場合には、大学ルートを選ぶことが無難です。
専門学校卒業者が大学院に進学する場合は、個別に入学資格審査が必要なケースがあり、ハードルが高くなります。
作業療法士という国家資格を取得する観点のみで言えば、どのルートを選んでも国家試験に合格すれば同じ資格です。
しかし、卒業後に職場でのキャリア形成や待遇に差が生じることがある点も踏まえて、進路を検討するとよいでしょう。

社会人から作業療法士を目指すことは不可能ではありませんが、通信教育での資格取得はできず、最短でも3年間の養成校通学と実習が必要です。
作業療法士は国に指定された養成施設で所定のカリキュラムを修了しなければ国家試験の受験資格を得られません。
そのため、仕事を続けながら通信講座だけで取得するルートは存在しません。
社会人が現実的に目指すには、夜間部のある専門学校への入学、または仕事を一時的に休職・退職しての在学が主な選択肢になります。
いずれのルートにも、費用・時間・収入の面で相応の覚悟が必要です。
働きながら作業療法士を目指す最も現実的なルートは、夜間部のある専門学校への入学です。
夜間部では授業が18時台から21時台に組まれており、日中の仕事と両立できる体制が整っています。
評価実習や総合臨床実習は病院・施設での日中勤務が原則であり、4〜10週間程度の単位で複数回実施されます。
この実習期間中は、フルタイムの仕事との両立は現実的に難しく、雇用主との相談や休職・有給休暇の活用が必要になるケースが多いです。
| 在学スタイル | 授業への対応 | 実習への対応 | 現実的な難しさ |
|---|---|---|---|
| 夜間部+フルタイム勤務 | 基本的に可能 | 実習期間に休職等が必要 | 体力面と実習調整が課題 |
| 昼間部+仕事を退職 | 可能 | 対応しやすい | 収入がゼロになる期間がある |
| 昼間部+パート勤務 | 授業外に限り可能 | 実習期間に対応可能 | 収入減と学習負担の両立 |
夜間部は全国に存在しますが、学校数は昼間部と比べて少なく、地域によっては通学可能な距離に夜間部が存在しない場合もあります。
進学を検討する際は、居住地周辺に夜間制の養成校があるかを最初に確認しておくとよいでしょう。
昼間部を選ぶ場合は、在学中の3〜4年間の生活費と学費を事前に確保しておく必要があります。
家族がいる社会人にとっては、収入が途絶える期間のリスク管理が特に重要です。
また、夜間部は昼間部よりも在学期間が長くなる学校もあります。
夜間部での学習と実習の時間割の詳細は学校によって異なるため、入学前に実習の実施時期・期間・スケジュールを必ず各学校に確認することをおすすめします。
社会人が作業療法士を目指す場合の総費用は、学費だけでなく在学中の生活費や収入の変化も含めた試算が必要です。
| 進路の種類 | 修業年数 | 学費の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 国公立大学(昼間) | 4年 | 約250万円 | 生活費は別途、入試難易度が高い |
| 私立大学(昼間) | 4年 | 550万〜750万円 | 入試難易度は中程度 |
| 3年制専門学校(昼間) | 3年 | 400万〜550万円 | 仕事との両立は困難 |
| 3年制専門学校(夜間) | 3年 | 300万〜450万円 | 働きながら通学しやすい |
出典:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
専門学校の学費範囲は医校・医専公表資料および複数養成校の公表値をもとにした目安
夜間部の学費は昼間部と比べて概ね100万円程度安く設定されている学校が多く、社会人にとって経済的な選択肢になります。
学費を抑える手段として、社会人に活用できる給付制度があります。
雇用保険の被保険者または一定期間内に被保険者だった人を対象とした専門実践教育訓練給付金(厚生労働省)は、指定講座として認定された養成校に通うことで、支払った教育訓練経費の50%がハローワークから支給され、さらに資格取得後に一定の条件を満たした場合に20%が追加支給される制度です。
3年間の専門学校に通う場合の支給額は、学費の規模や学校の指定状況によって変わります。
大阪リハビリテーション専門学校の作業療法学科は一般教育訓練給付金の対象として認可されており、給付率や上限額は専門実践とは異なります。
進学を検討する際は、各学校が専門実践教育訓練の指定校かどうかを学校に直接確認した上で、最寄りのハローワークで受給資格も事前に確認するとよいでしょう。
日本学生支援機構の奨学金も利用可能です。
社会人入学でも年齢制限は原則なく、申し込み要件を満たせば貸与型・給付型ともに申請できます。
各学校が独自に設ける特待生制度や奨学金制度もあるため、入学前に確認しておくと学費負担を軽減できます。
社会人からの挑戦は、仕事を辞めれば3〜4年間の無収入期間と400万〜750万円の学費を確保する必要があります。
夜間部であっても実習期間の収入減少リスクは避けられません。
進学前に家族も含めた資金計画を立て、奨学金・給付金の活用可能性を調べた上で決断することをおすすめします。

作業療法士に向いている人は、人との関わりを大切にしながら、地道に学習を積み重ねられる継続力を持っている人です。
医療系国家資格の取得には、向き不向きの適性と、試験に合格するための学習スタイルが問われます。
作業療法士は病院・介護施設・発達支援施設などで多様な患者・利用者と向き合う職業であり、専門知識の習得だけでなく、コミュニケーション力・観察力・精神的な安定感も求められます。
自分が作業療法士という職業に向いているかどうかを事前に確認しておくことで、入学後の方向性が見えてきます。
国家試験で安定して高得点を取れる受験生には、丸暗記よりも理解を優先する学習スタイルが共通しています。
作業療法士国家試験は200問のマークシート式ですが、出題パターンは単純な知識再現型だけではありません。
症例を読んで評価や介入を選択する実地問題では、疾患の特性・患者の状態・適切な作業療法アプローチを関連づける思考が求められます。
このような問題には、単語の暗記だけでなく、なぜその評価を選ぶのかという理由まで理解した学習が必要です。
国家試験合格率が安定して高い学生に共通して見られる学習スタイルは、以下のとおりです。
早期に全科目の概要を把握して、苦手科目を早い段階で特定します。
試験まで半年以上ある段階で弱点科目を把握しているため、直前に焦る場面が少ないのが特徴です。
授業で学んだ内容をその日のうちに過去問に当てはめる習慣を持っています。
授業→過去問のサイクルを繰り返すことで、知識が定着しやすくなります。
模擬試験の結果を記録して、科目ごとの正答率の推移を追います。
客観的な数値で自分の学習進度を管理できる人は、直前期に慌てることなく対策を仕上げられます。
実地問題については、症例の読み込みと評価・介入の選択を繰り返す演習を別途設けています。
一般問題と実地問題を同じ方法で解こうとすると、実地問題への対応力が育ちにくいため、意識的に分けて練習するとよいでしょう。
作業療法士という職業の仕事内容・意義・対象者への理解が深い学生は、専門問題の理解が早い傾向があります。
ボランティア・見学実習・関連書籍などで早期に現場と接触している人は、学ぶ動機が明確なため学習の継続力が高くなります。
逆に、試験直前まで全科目を均等に勉強し続ける学生や、過去問の丸暗記だけに頼る学生は、出題パターンが変わった問題に対応しにくい傾向があります。
作業療法士養成課程で特に大変と感じやすい場面は、基礎医学の暗記量と臨床実習のプレッシャーの2つに集中します。
基礎医学(解剖学・生理学・運動学)の授業は、1〜2年次に集中して行われます。
解剖学では骨・筋肉・神経の名称と機能を大量に覚える必要があり、1科目あたりの暗記量が膨大です。
この時期に苦手意識を持つ学生は多いですが、解剖学・生理学・運動学の知識は後の評価学・治療学と深くつながっており、基礎を後回しにすると専門科目の理解が浅くなります。
この時期を乗り越えるポイントは、繰り返しと視覚化です。
図解を活用しながら何度もノートに書き出す、授業後に友人と口頭で確認し合う、模型や動画を使って立体的に理解するといった方法が、暗記量を処理する上で効果的です。
臨床実習では、初めて病院・施設に長期滞在して患者と実際に関わる経験をします。
特に評価実習(4〜6週間)と総合臨床実習(8〜10週間)は、指導者からの指摘を受けながら自分の思考・技術・記録を磨く期間であり、精神的なプレッシャーが大きい時期です。
実習で苦労する場面に共通するのは、記録(デイリーノートやレポート)の作成に時間がかかりすぎることです。
実習中は毎日の記録作成が求められ、初期は日付が変わるまで作業が続くケースも少なくありません。
この負担を軽くするには、実習前にSOAP記録の書き方・ICFに基づく問題点の整理・短期目標・長期目標の記述方法を反復練習しておくことが効果的です。
実習中の人間関係に不安を感じる学生もいます。
指導者との関係が難しいと感じた場合は、一人で抱え込まず養成校の担当教員や実習担当者に早めに状況を共有することが重要です。
実習は教育の場であり、困難を報告することは義務ではなく権利です。
以下に、大変と感じやすい場面ごとの対処のポイントを整理します。
| 大変と感じる場面 | 対処のポイント |
|---|---|
| 基礎医学の暗記量 | 図解・繰り返し・声に出す復習で定着させる |
| 専門科目の難しさ | 過去問と授業を連動させて理解を確認する |
| 実習記録の多さ | 実習前にSOAPとICFの記述練習をしておく |
| 実習中のプレッシャー | 早めに養成校教員に相談し孤立を防ぐ |
| 国試直前の不安 | 模試の結果を科目別に整理して残り期間を計画する |
向いていないと感じたときに立ち止まって考えることも大切ですが、大変な時期には一時的に向いていないのではと感じる人が多く、その感覚は多くの場合一時的なものです。
実習や勉強の壁を乗り越えた先に、作業療法士としてのやりがいが待っています。
作業療法士の難易度や取得方法に関して、受験を検討している方からよく寄せられる質問をまとめました。
作業療法士国家試験の受験資格は、厚生労働大臣または文部科学大臣が指定する養成施設で3年以上のカリキュラムを修了することで得られます。
そのため、養成校に通わずに独学だけで受験資格を取得することはできません。
受験資格を得た後の試験対策という意味では、過去問演習や市販の参考書を活用した自主学習は可能です。
養成校のカリキュラムには解剖学・生理学・臨床医学など幅広い基礎医学が含まれており、授業と実習を通じた学習なしに試験の内容を網羅することは現実的に難しいといえます。
国家試験対策としての独学は補助的な手段として有効ですが、受験資格の取得自体は養成校通学が前提になります。
合格率の数字で見ると、作業療法士と理学療法士の難易度はほぼ同水準です。
厚生労働省が発表した第61回(2026年)の合格発表では、作業療法士が91.2%、理学療法士が89.7%と1.5ポイントの差にとどまっています。
試験の構成も同じで、両職種とも共通問題100問と専門問題100問の合計200問で、合格基準の正答率は約60%です。
両試験は同日・同一会場で実施されるため、試験環境も同条件です。
専門問題の内容は職種ごとに異なります。
作業療法士の専門問題では日常生活活動・精神障害への介入・義肢装具・発達領域など作業療法固有の領域が出題され、理学療法士は運動療法・物理療法・義肢装具・徒手療法など理学療法に特化した内容が問われます。
どちらが難しいかは出題内容に対する個人の得意不得意によって変わるため、単純にどちらが難しいとは言い切れません。
国家試験に不合格になった場合は、翌年以降の試験を再受験できます。
作業療法士国家試験は年に1回(例年2月下旬)しか実施されないため、不合格の場合は次の受験機会まで最低1年間待つことになります。
再受験時は既卒者という扱いになります。
前述のとおり、既卒者の合格率は第61回(2026年)時点で49.8%にとどまっており、養成校在学中に受験する新卒者の96.6%と比べて大幅に低い水準です。
再受験に向けては、養成校の卒業生サポートが利用できる場合は活用し、不合格の原因となった科目を分析して重点的に対策することが重要です。
不合格になった年の試験問題を丁寧に振り返り、弱点科目の洗い出しから始めるとよいでしょう。
回数に制限はなく、何度でも受験が可能です。
通信講座だけで作業療法士の資格を取得することはできません。
作業療法士国家試験を受験するには、国に指定された養成施設で3年以上のカリキュラムを修了することが法的に定められており、通信教育での修了は受験資格として認められていません。
これは作業療法士法(昭和40年法律第137号)に基づく規定であり、確かな知識・技術と臨床実習の両方を修了した者にのみ受験資格が与えられます。
臨床実習は患者・利用者と実際に関わる実地訓練であり、通信形式での代替は認められていません。
社会人などが時間的・地理的な制約の中で資格取得を目指す場合は、夜間部のある専門学校への入学が最も現実的な選択肢です。
通信形式の学習支援(オンデマンド授業や録画視聴)を部分的に採用している養成校は増えていますが、あくまで補助的な活用にとどまり、養成校への在籍と実習の修了は必須です。
作業療法士になるまでの期間は、進学するルートによって異なります。
最短ルートは高校卒業後に3年制専門学校に入学し、3年間で卒業して当年の国家試験に合格した場合で、高校卒業から数えて最短3年です。
| 進学先 | 修業年数 | 最短での資格取得時期 |
|---|---|---|
| 3年制専門学校 | 3年 | 高卒から3年後 |
| 3年制短期大学 | 3年 | 高卒から3年後 |
| 4年制専門学校 | 4年 | 高卒から4年後 |
| 4年制大学 | 4年 | 高卒から4年後 |
いずれのルートでも、卒業した年の国家試験(例年2月下旬実施)に合格すれば、その年の春から作業療法士として就業できます。
国家試験の合格発表は3月下旬で、4月入職に間に合うスケジュールです。
社会人から目指す場合も修業年数は変わりません。
参考資料