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接骨院に通ったことはあっても、柔道整復師という職種の正確な意味や国家資格としての位置づけを知っている方は少ないのではないでしょうか。
柔道整復師は、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷の5種類の外傷を手術なしに整復・固定・後療法で治療できる国家資格者です。
全国で78,827人が就業し、50,919か所の施術所が運営されています(令和4年衛生行政報告例・厚生労働省)。
近年は整体やカイロプラクティックとの混同が多く、保険が使えるかどうかを正確に知らないまま受診しているケースも少なくありません。
この記事では、柔道整復師の定義・仕事内容・保険の条件・資格の取り方・年収・将来性まで専門家の視点でわかりやすく解説します。
柔道整復師とは、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷の5つの外傷に対し、手術を用いない整復・固定・後療法によって治療を行う医療類似行為の国家資格者です。
厚生労働大臣が認定する国家資格であり、取得後は接骨院や整骨院の開設・運営が可能になります。
厚生労働省の令和4年衛生行政報告例によると、就業柔道整復師は全国で78,827人、柔道整復の施術所は50,919か所に上ります。
柔道整復師とは、柔道整復師法(昭和45年法律第19号)に基づき厚生労働大臣から免許を受け、骨折や脱臼などの外傷に対して柔道整復を業として行う者のことです。
柔道整復師法は1970年(昭和45年)に制定されました。
骨折・脱臼・捻挫・打撲などの運動器外傷に対し、非観血的な方法で施術を行う職種を法律によって定義した根拠法です。
非観血的とは、皮膚を切開せず器具を体内に挿入しない手段を意味します。
医師法との関係も整理しておく必要があります。
診断・治療・投薬などの医業は医師にしか認められていません。
柔道整復師は医師の指示を受けることなく単独で施術できる立場であり、医師の指示のもとで動く理学療法士などとは法的な位置づけが大きく異なります。
国家試験への合格だけでは柔道整復師として働くことはできません。
合格後に厚生労働省への免許申請が必要であり、免許証が交付されて初めて有資格者として施術所を開設できます。
免許取得のステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 養成校への入学 | 文部科学大臣または都道府県知事指定の学校・養成施設へ入学 |
| 修業年限 | 3年以上の専門課程を修了 |
| 国家試験受験 | 毎年3月に実施される柔道整復師国家試験を受験 |
| 免許申請 | 合格後、厚生労働省の柔道整復師名簿へ登録を申請 |
| 免許交付 | 厚生労働大臣名義の免許証が交付される |
試験は毎年3月上旬に全国9都道府県で一斉実施されます。
厚生労働省が2026年3月に公表した第34回試験では、受験者4,434人のうち3,170人が合格し、合格率は71.5%でした。
過去には第31回(2023年)で49.6%まで低下した回もあり、年度によって難易度に一定の幅があります。
国家試験の出題科目は10科目に分かれており、基礎医学(解剖学・生理学・整形外科学など)から柔道整復の専門理論・関係法規まで幅広く問われます。
筆記試験のみで実技試験はなく、全250問(必修問題50問・一般問題200問)の構成です。
必修問題は80%以上、一般問題は60%以上の正答率が合格基準とされています。
柔道整復師が施術できる対象は、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷(肉離れ)の5種類の急性外傷に限定されており、慢性疾患や内科的な疾患は施術対象に含まれません。
柔道整復師法第17条は施術の範囲を明確に規定しており、慢性的な肩こりや腰痛・神経痛などは本来の施術対象外です。
急性または亜急性の外傷に特化した職種である点を最初に押さえておくとよいでしょう。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 施術できる症状 | 骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷(肉離れ) |
| 主な施術方法 | 整復(骨や関節を元の位置に戻す)・固定(患部を動かないよう固定する)・後療法(電気療法・温熱療法・手技療法) |
| 健康保険が使える条件 | 急性・亜急性の外傷で、慢性疾患でないこと |
| 施術できない症状 | 慢性の腰痛・肩こり・神経痛・関節リウマチなど疾患性のもの |
| 医師との連携が必要なケース | 開放性骨折・開放性脱臼(皮膚が破れているもの)、内臓損傷が疑われるもの |
骨折と脱臼については特別な条件があります。
応急処置にかぎり医師の同意なしで施術できますが、継続的な治療を進めるには医師の同意を得る必要があります。
捻挫や打撲は柔道整復師が単独で施術できる対象です。
スポーツ中のケガや転倒後の受診先として接骨院が選ばれるのは、外傷性のケガへの専門的な対応力が高いためです。
足首の捻挫であれば、固定テーピングや包帯処置と電気療法を組み合わせた治療が一般的に行われます。
柔道整復師の施術は整復・固定・後療法の3つの手技で成り立っています。
それぞれの役割を把握しておくと、初めて接骨院を受診する際の参考になるでしょう。
整復とは、骨や関節が正常な位置からずれた状態を手の力によって元の位置に戻す施術のことです。
脱臼の整復が典型例であり、柔道整復師法に基づいて柔道整復師が実施できる行為として定められています。
固定とは、整復した部位や損傷した組織を包帯・副木・テーピングなどで動かないよう固定し、治癒を促す手技のことです。
固定の精度が回復の速さと後遺症の有無に直結するとされており、柔道整復師の技術力が問われる重要な施術領域といえます。
後療法とは、整復・固定後の組織修復を促進するために行う各種施術の総称のことです。
電気療法・温熱療法・アイシング・手技療法(マッサージなど)が含まれ、施術所ごとに機器や手法の組み合わせが異なります。

接骨院と整骨院は、いずれも柔道整復師が開設・運営する施術所であり、名称が異なるだけで柔道整復師法上はまったく同一の施設区分に位置付けられています。
柔道整復師法上の正式名称は施術所です。
接骨院・整骨院はどちらも慣用的に広く使われている呼称であり、医療法上の病院や診療所とは区別された施設区分に位置します。
施術所を開設・管理できるのは柔道整復師の有資格者のみであり、無免許の整体師が接骨院・整骨院を名乗ることは法律上認められていません。
厚生労働省の令和4年衛生行政報告例によると、全国の柔道整復施術所は50,919か所で、前回調査(令和2年)より555か所(1.1%)増加しました。
就業柔道整復師数78,827人の大半が施術所を主要な就業先としており、接骨院・整骨院が業界の中心的な雇用の場となっています。
| 就業先の種類 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 接骨院・整骨院(施術所) | 外傷の整復・固定・後療法、健康保険の療養費請求 |
| 整形外科・病院 | 医師の補助、リハビリ業務、ギプス固定補助 |
| 介護施設 | 機能訓練指導員として入居者の身体機能維持・向上 |
| スポーツ現場 | チームトレーナー、アスリートのコンディショニング |
| 独立開業 | 自院の経営者として施術所を運営 |
接骨院は保険医療機関とは異なり、患者がかかりつけ医への紹介状なしで直接受診できます。
急なケガの際に地域住民が最初に訪れる施設として、地域医療の入り口となっている側面もあります。
施術所が全国50,000か所を超えて広がっているのは、外傷対応に特化した専門職が地域に根ざして長年活動してきた歴史を示しているといえるでしょう。
近年はスポーツチームのトレーナー職や介護施設の機能訓練指導員など、施術所以外でのニーズも着実に広がっています。
柔道整復師と混同されやすい職種として、理学療法士・整体師・鍼灸師・整形外科医が代表的に挙げられますが、国家資格の有無・医師の指示の要否・施術対象の3点において明確な差があります。
受診先を選ぶ際の参考として、柔道整復師と各職種の主な違いを以下の表でまとめます。
根拠法や施術対象を確認しておくと、ケガをしたときの受診先選びに役立つでしょう。
| 比較項目 | 柔道整復師 | 理学療法士 | 整体師 | 鍼灸師 |
|---|---|---|---|---|
| 国家資格 | あり | あり | なし | あり |
| 根拠法 | 柔道整復師法(昭和45年) | 理学療法士及び作業療法士法(昭和40年) | なし | はり師・きゅう師等に関する法律(昭和22年) |
| 医師の指示 | 外傷に対し不要 | 常に必要 | 不要 | 不要 |
| 主な施術対象 | 急性外傷(骨折・捻挫等) | 全般的なリハビリ | 制限なし | 慢性疼痛・自律神経系 |
| 保険適用 | 急性外傷に適用可 | 医療機関内で適用 | 原則不可 | 同意あれば一部可 |
| 独立開設 | 施術所として可 | 不可 | 制限なし | 鍼灸院として可 |
理学療法士とは、理学療法士及び作業療法士法(昭和40年法律第137号)に基づき、医師の指示のもとで運動機能障害のリハビリテーションを担う国家資格者のことです。
公益社団法人日本理学療法士協会の統計情報(2026年3月末現在)によると、協会会員数は144,943人に上ります。
就業場所の分布を見ると、病院・医療施設での勤務が大半を占めており、接骨院のように独立して施術所を開設できる立場ではありません。
| 比較項目 | 柔道整復師 | 理学療法士 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 柔道整復師法(昭和45年) | 理学療法士及び作業療法士法(昭和40年) |
| 医師の指示 | 急性外傷に対し不要 | 常に必要(同法第15条) |
| 主な施術対象 | 骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷 | 医師が指示した運動器・神経系等のリハビリ |
| 主な就業先 | 接骨院・整骨院(独立開設可) | 病院・クリニック・介護施設(独立開設不可) |
| 保険の請求方法 | 療養費として患者から委任請求 | 医療機関が診療報酬として請求 |
柔道整復師と理学療法士の最大の違いは、医師の指示なしに施術を行える点にあります。
理学療法士法第15条は、医師の指示なしに業を行うことを禁じており、病院や診療所での勤務を前提とした職種です。
急性外傷では柔道整復師が最初に対応し、回復段階では理学療法士が引き継ぐという役割分担が医療現場では一般的です。
両者の違いを把握しておくと、ケガの状況に応じた受診先を選ぶ際の参考になるでしょう。
整体師とは、手技によって骨格や筋肉のゆがみを整えることを目的とした施術を行う者の総称のことです。
日本では整体師を規定する国家資格や根拠法が存在せず、公的な資格なしに整体院を開設することが法律上可能です。
カイロプラクターとは、脊椎の歪みを手技で矯正することで神経機能の改善を目指す施術者のことです。
世界保健機関は2005年にカイロプラクティックのガイドラインを策定していますが、日本ではカイロプラクティックに特化した国家資格は設けられていません。
柔道整復師との本質的な差は、法律上の裏付けと健康保険適用の有無にあります。
柔道整復師は柔道整復師法に基づく国家資格者であり、急性外傷に対しては健康保険の療養費が適用される仕組みがあります。
整体院やカイロプラクティックの施術は原則として全額自己負担となります。
施術の質や方法を定める法律上の基準がないため、施術者の技術や知識に差が生じやすい環境にあります。
| 比較項目 | 柔道整復師 | 整体師 | カイロプラクター |
|---|---|---|---|
| 国家資格 | あり(柔道整復師法) | なし | なし |
| 施術の法的基準 | あり | なし | なし |
| 保険適用 | 急性外傷に適用可 | 原則不可 | 原則不可 |
| 名称の保護 | 柔道整復師のみ名乗れる | 誰でも名乗れる | 誰でも名乗れる |
鍼灸師とは、はり師ときゅう師の両方の国家資格を取得し、鍼とお灸を用いた施術によって疾病の治療や体調管理を行う医療類似行為の資格者のことです。
あん摩マッサージ指圧師とは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)に基づき、なで・もみ・押すといった手技で身体の不調を改善する国家資格者のことです。
厚生労働省の令和4年衛生行政報告例によると、就業はり師は134,218人、就業きゅう師は132,205人、就業あん摩マッサージ指圧師は121,565人となっており、いずれも就業柔道整復師の78,827人を上回る規模です。
| 比較項目 | 柔道整復師 | 鍼灸師 | あん摩マッサージ指圧師 |
|---|---|---|---|
| 根拠法 | 柔道整復師法(昭和45年) | はり師・きゅう師等に関する法律(昭和22年) | 同左 |
| 主な施術対象 | 急性外傷(骨折・捻挫・打撲等) | 慢性疼痛・神経痛・自律神経系の不調 | 筋肉のこり・神経痛・関節痛等 |
| 施術で使う道具 | 手技・包帯・副木・電気機器 | 鍼・お灸 | 手技のみ(なで・もみ・押す) |
| 保険適用 | 急性外傷に適用可 | 医師の同意書があれば一部適用可 | 同左 |
柔道整復師と鍼灸師の最大の違いは、施術の道具と対象疾患にあります。
柔道整復師が急性外傷を手技や固定材料で治療するのに対し、鍼灸師は鍼やお灸を使って慢性疾患や自律神経系の不調にアプローチします。
スポーツ障害の分野では、柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスを取得する施術者も増えています。
2つの資格を持つことで対応できる症状の幅が広がり、より専門性の高いケアが可能になります。
整形外科医とは、骨・関節・筋肉・腱・神経などの運動器に生じた疾患や外傷に対し、診断・手術・薬の処方を行う医師法に基づく国家資格を持つ専門医のことです。
柔道整復師と整形外科医は競合ではなく、役割を補完し合う関係にあります。
整形外科医は画像診断・手術・投薬が可能であり、柔道整復師は非観血的な手技施術に特化しているため、急性外傷の保存療法において連携する場面が生まれます。
| 比較項目 | 整形外科医 | 柔道整復師 |
|---|---|---|
| 資格の根拠 | 医師法(国家資格) | 柔道整復師法(国家資格) |
| 手術 | 可能 | 不可 |
| 薬の処方 | 可能 | 不可 |
| 画像診断(レントゲン等) | 可能 | 不可 |
| 保険の仕組み | 診療報酬として請求 | 療養費として請求 |
| 施術の特徴 | 観血的処置を含む総合診療 | 非観血的手技施術に特化 |
接骨院を受診した後に骨折が疑われる場合、柔道整復師から整形外科への受診を勧められることがあります。
開放性骨折や内臓損傷が疑われる状況では施術の範囲を超えるため、速やかに整形外科を受診することが必要です。
捻挫や打撲など比較的軽度の急性外傷では接骨院が最初の受診先として適しており、レントゲン撮影が必要なほどの強い衝撃や腫れ・変形が著しいケースでは整形外科を優先するとよいでしょう。
柔道整復師の施術に健康保険が適用されるのは、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の5種類の急性外傷に限られます。
慢性疾患や肩こりなど疲労性の症状には保険は適用されません。
受領委任制度とは、患者が窓口で自己負担分のみを支払い、柔道整復師が患者の委任を受けて残額を保険者に直接請求する仕組みのことです。
全国健康保険協会の案内によると、療養費は本来患者が全額を支払い後日還付を受ける方式が原則とされています。
受領委任制度の普及によって接骨院・整骨院では病院と同様に窓口での一部負担金のみで受診できます。

施術時には療養費支給申請書への署名が必要であり、傷病名・施術日数・請求金額を確認した上でサインするとよいでしょう。
健康保険の療養費が適用される施術とは、ケガの原因が外傷性であることが明確で、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷のいずれかに対して行う整復・固定・後療法のことです。
骨折と脱臼については特別な条件があります。
応急処置の範囲であれば医師の同意なしに施術を受けられますが、継続的な施術には医師の同意書が必要です。
全国健康保険協会の案内でも、骨折・脱臼の継続治療には事前の医師同意が明記されています。
捻挫・打撲・挫傷については、柔道整復師が医師の同意なしに施術でき、急性または亜急性の外傷であれば保険が適用されます。
いつ・どこで・どのような経緯で負傷したかが明確であることが必要条件です。
| 症状 | 保険の取り扱い | 医師の同意 | 主な適用条件 |
|---|---|---|---|
| 骨折 | 適用可 | 応急処置以外は必要 | 急性・外傷性のもの |
| 脱臼 | 適用可 | 応急処置以外は必要 | 急性・外傷性のもの |
| 捻挫 | 適用可 | 不要 | 急性・亜急性・外傷性のもの |
| 打撲 | 適用可 | 不要 | 急性・亜急性・外傷性のもの |
| 挫傷(肉離れ) | 適用可 | 不要 | 急性・亜急性・外傷性のもの |
令和8年7月1日施行の厚生労働省通知により、1回の施術で複数部位を対象とする場合に逓減ルールが設けられています。
2部位目は所定料金の80%、3部位目は60%で算定されるため、複数か所に負傷がある場合は施術所から事前に説明を受けておくとよいでしょう。
保険が適用されない施術とは、慢性疾患・日常的な筋肉疲労・肩こりなど外傷性の原因が明確でない症状への施術、または別の給付制度が優先される状況での施術のことです。
全国健康保険協会の案内によると、単なる肩こり・筋肉疲労・神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・ヘルニアなどの疾患からくる痛みには健康保険は使えません。
疲労回復や慰安目的のマッサージ代わりの施術も同様に適用外となります。
病院や診療所で同じ負傷部位の治療を受けながら接骨院にも同時に通院する場合は、保険の二重適用が認められません。
仕事中や通勤途中の負傷は労働災害保険の対象となり、交通事故による負傷は自賠責保険・第三者行為として別の手続きが必要です。
| 区分 | 保険の扱い | 具体例 |
|---|---|---|
| 急性外傷(骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷) | 適用可 | スポーツ中の捻挫、転倒による打撲 |
| 慢性的な腰痛・肩こり | 不可 | 長年続く腰痛、慢性的な肩こり |
| 筋肉疲労・マッサージ目的 | 不可 | 運動後の疲労回復 |
| 神経痛・リウマチ等の疾患 | 不可 | 五十肩・ヘルニアからくる痛み |
| 労働災害による負傷 | 労災保険が対象 | 職場内でのケガ |
| 交通事故による負傷 | 自賠責・第三者行為 | 追突事故によるむちうち |
| 同一部位の並行受診 | 不可 | 病院と接骨院での同時通院 |
| 長期・頻回な施術 | 一部適用制限あり | 5か月超・月10回以上の継続 |
全国健康保険協会の案内では、長期かつ頻回な施術を継続している患者については受領委任から償還払いへ変更できる仕組みが設けられています。
治療が長期化する場合は、一度医師の診断を受けることを検討するとよいでしょう。
接骨院での自費施術とは、健康保険の適用対象外の症状に対して施術所が独自料金で行う施術のことです。
慢性腰痛のケア・予防的なコンディショニング・健康増進目的の施術などが含まれ、料金は施術所ごとに設定されています。
自費施術を受ける前に、料金・施術内容・回数の目安を必ず確認しておきましょう。
施術後は領収書を受け取り保管しておくことが、医療費控除の申請や後日の確認にも役立ちます。
徒手整復とは、骨折や脱臼によって正常な位置からずれた骨・関節を、道具や手術を使わずに施術者の手だけで元の位置に戻す技術のことです。
柔道整復師だけが法律上単独で行える施術として、柔道整復師法に根拠を持ちます。
徒手整復が注目される理由は、身体への侵襲がきわめて少ない点にあります。
手術では皮膚を切開して金属製のプレートやスクリューで固定しますが、徒手整復では外側からの手の力のみで骨の位置を修正します。
徒手整復とは、器具や薬剤を使わずに施術者の手の力と技術のみによって、変位した骨や関節を正常な解剖学的位置に戻す、柔道整復師が担う施術のことです。
徒手整復は古武道の柔術に含まれていた活法の技術を起源とします。
柔術は相手を倒す技術だけでなく傷ついた体を修復する技術も包含しており、骨折や脱臼の非観血的整復は活法の中核をなしていました。
明治時代に近代医療制度が整備される中で、柔道整復師法の制定によって制度化された技術です。
手術との根本的な違いは、組織への侵襲度にあります。
観血的手術では皮膚を切開して金属プレートやスクリューで骨折部位を固定しますが、徒手整復では切開も器具の挿入も行いません。
徒手整復では麻酔が不要であり、感染リスクも手術と比べてきわめて低くなります。
人体が本来持つ自然治癒力を最大限に活かしながら、骨や靭帯の修復を促す点が保存療法の本質です。
| 項目 | 徒手整復(非観血的) | 手術(観血的) |
|---|---|---|
| 皮膚の切開 | なし | あり |
| 金属器具の使用 | なし | プレート・スクリュー等 |
| 麻酔 | 不要 | 全身または局所麻酔が必要 |
| 感染リスク | 低い | 切開部位からの感染リスクあり |
| 入院の必要性 | 通常不要 | 入院を伴うケースが多い |
| 適応症状 | 非開放性の骨折・脱臼 | 複雑骨折・開放性骨折など |
徒手整復は適切な症状の範囲内で有効な選択肢ですが、粉砕骨折や開放性骨折(皮膚が破れているもの)などの複雑な外傷では手術が必要なケースがあります。
骨折の状態によっては、受診後に整形外科への紹介が行われることもあります。
骨折・脱臼・捻挫は同じ外傷に分類されますが、損傷している組織・整復の対象・固定の方法がそれぞれ異なるため、柔道整復師は傷病ごとに施術アプローチを変える必要があります。
骨折とは、外力によって骨の連続性が失われた状態のことです。
骨折部位の骨端が変位している場合には整復(骨を元の位置に戻す操作)が必要であり、整復後に包帯・副木・テーピングによる固定を行います。
整復の手順は、まず損傷部位の変形・腫れ・圧痛を確認し、骨折の方向と変位の程度を触診で把握することから始まります。
骨折端を引き離す牽引を加えながら、反対方向の圧力で骨を正常な位置へ誘導します。
整復後は骨折部位が動かないよう固定材料(副木・包帯・ギプス様包帯など)で固定します。
仮骨形成は骨折から4〜8週間が目安とされており、完全な骨の再構築には数か月を要します。

脱臼とは、関節を構成する骨が関節包から外れた状態のことです。
接骨院で対応する頻度が高い脱臼として、肩関節脱臼・肘関節脱臼・足関節脱臼が挙げられます。
脱臼の整復は、関節の解剖学的な形状と脱臼した方向を正確に把握した上で行います。
外れた骨を関節包に沿って誘導し正常な位置に戻すことで整復が完了します。
整復時には筋肉の緊張を解除するための体位設定が重要です。
整復後は関節が再び外れないよう固定します。
肩関節脱臼では三角巾による固定が一般的であり、固定期間中の安静が再脱臼の予防につながります。
固定期間は部位・年齢・脱臼の程度によって異なります。
捻挫とは、関節に過剰な外力が加わり靭帯が損傷した状態のことです。
骨折・脱臼と異なり整復の対象となる骨や関節の変位はありませんが、靭帯の損傷程度に応じた固定と後療法が治癒の鍵となります。
捻挫の重症度はI度からIII度に分類されます。
I度は靭帯の微小断裂で腫れが軽度、II度は靭帯の部分断裂で腫れと圧痛が顕著、III度は靭帯の完全断裂で関節の不安定性を伴うケースです。
施術はテーピングや包帯を用いた固定が中心となり、腫れや熱感が強い急性期にはアイシングを行います。
電気療法や温熱療法などの後療法は、急性期を過ぎた組織修復の段階から適用します。
| 項目 | 骨折 | 脱臼 | 捻挫 |
|---|---|---|---|
| 損傷部位 | 骨の連続性の断裂 | 関節包からの骨の逸脱 | 靭帯の損傷(微小断裂〜完全断裂) |
| 整復の対象 | 骨端の変位を正常位へ | 関節を正常位へ | 整復対象なし(固定・後療法が主体) |
| 主な固定材料 | 副木・包帯・ギプス様包帯 | 三角巾・包帯 | テーピング・包帯 |
| 医師の同意 | 継続治療に必要 | 継続治療に必要 | 不要 |
| 回復目安 | 部位により4〜8週以上 | 部位・程度により2〜6週 | I度は1〜2週、III度は数か月 |
柔道整復師になるには、文部科学大臣または都道府県知事が指定する養成校で3年以上学び、国家試験に合格した後に厚生労働省への免許申請を完了させる必要があります。
養成校には専門学校(3〜4年制)と大学(4年制)の選択肢があります。
最短ルートは3年制の専門学校で、卒業後すぐに国家試験を受験できます。
学費は専門学校の3年間で概ね400〜500万円が目安です。
柔道整復師の養成校とは、文部科学大臣または都道府県知事の指定を受け、柔道整復師法施行規則に基づいたカリキュラムを提供する教育機関のことです。
養成校の種別は大きく3つあります。
3年制の専門学校(昼間部・夜間部)、4年制の専門学校、そして4年制の大学です。
最多の進学先は3年制専門学校の昼間部であり、夜間部では社会人が働きながら資格を目指せます。
カリキュラムは10科目を中心に構成されており、解剖学・生理学・運動学・病理学概論・衛生学・公衆衛生学・一般臨床医学・外科学概論・整形外科学・リハビリテーション医学・柔道整復理論及び関係法規が指定されています。
| 分類 | 主な科目 |
|---|---|
| 基礎医学系 | 解剖学・生理学・運動学・病理学概論・衛生学・公衆衛生学 |
| 臨床医学系 | 一般臨床医学・外科学概論・整形外科学・リハビリテーション医学 |
| 専門系 | 柔道整復理論及び関係法規 |
| 実技 | 柔道(基本技術)・柔道整復実技 |
座学だけでなく実技訓練も卒業要件となっています。
公益財団法人柔道整復研修試験財団がカリキュラム基準を管理しており、養成校は指定の基準に沿った教育を提供しています。
学費は養成校・地域によって異なりますが、3年制専門学校の場合は3年間の総額で概ね400〜500万円とされています。
高等教育の修学支援新制度(授業料等減免・給付型奨学金)や日本学生支援機構の貸与型奨学金も活用できます。
柔道整復師国家試験とは、厚生労働大臣の定めに基づき公益財団法人柔道整復研修試験財団が年1回実施する筆記試験のことであり、合格後の免許申請をもって正式な資格者となります。
試験は毎年3月上旬に全国9都道府県で実施されます。
全250問(必修問題50問・一般問題200問)で、必修問題は80%以上、一般問題は60%以上の正答率が合格基準です。
受験料は23,900円です。
厚生労働省の合格発表データによると、直近5回の合格率は大きく変動しています。
第31回(2023年)が49.6%と近年最低となった後、第34回(2026年3月)は71.5%と近年最高値を記録しました。
| 回次 | 実施年月 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 第30回 | 2022年3月 | 4,359人 | 2,748人 | 62.9% |
| 第31回 | 2023年3月 | 4,521人 | 2,246人 | 49.6% |
| 第32回 | 2024年3月 | 5,027人 | 3,338人 | 66.4% |
| 第33回 | 2025年3月 | 4,513人 | 2,607人 | 57.8% |
| 第34回 | 2026年3月 | 4,434人 | 3,170人 | 71.5% |
厚生労働省の合格発表データにもとづく直近5回の推移を以下の表にまとめます。
年度によって20ポイント以上の差が生じており、合格率は一定ではありません。
合格率の変動は、新卒合格者と既卒(再挑戦)受験者の比率が影響しています。
新卒者の合格率は例年70〜90%台で安定しているのに対し、既卒者の合格率は20〜40%台にとどまるケースが多く、両者の差が全体の数値を左右します。
試験対策としては、養成校の授業を基礎として国家試験対策テキストや過去問を活用した反復学習が一般的です。
必修問題は8割以上という高い基準が設けられており、苦手科目を残したまま試験に臨むと不合格リスクが高まります。
高校生と社会人では養成校への進学ルートが異なりますが、いずれも指定の養成校で3年以上のカリキュラムを修了することが国家試験受験の前提条件です。
高校生が柔道整復師を目指す場合、卒業後に専門学校(3〜4年制)または大学(4年制)の柔道整復師養成課程に進学するルートが一般的です。
3年制昼間部が最短ルートであり、22〜23歳での資格取得が可能です。
社会人が目指す場合は、夜間部を設置している専門学校が有力な選択肢です。
夜間部は通常18時以降の授業が中心であり、日中の仕事を継続しながら3年間で卒業資格を得られます。
専門学校各校の公表資料によると、夜間部の3年間学費総額は340〜350万円が目安とされており、昼間部の440〜460万円より100万円前後の差があります。
経済的な負担を軽減しながら資格を目指せる点が夜間部の魅力です。
| 対象 | 推奨コース | 修業年限 | 学費目安(3年間) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 高校新卒者 | 専門学校昼間部(3年制) | 3年 | 400〜500万円 | 最短ルートで取得可能 |
| 大学・学士号も取得したい方 | 4年制大学コース | 4年 | 600〜700万円 | 学士号も同時に取得 |
| 社会人(在職者) | 専門学校夜間部(3年制) | 3年 | 340〜350万円 | 働きながら取得可能 |
免許取得後に開業する際は追加の要件があります。
施術管理者として接骨院を開設・運営するには、令和元年以降の規定により免許取得後1年以上の実務経験と施術管理者研修の修了が必要です。
免許取得後すぐに独立開業できるわけではない点を把握しておくとよいでしょう。
柔道整復師の主な就職先は接骨院・整骨院ですが、整形外科・介護施設・スポーツ現場など多様な活躍の場が存在します。
厚生労働省の職業情報提供サイト(jobtag)の令和6年データによると、柔道整復師の平均年収は430.2万円です。
柔道整復師の就職先とは、柔道整復師免許を活かして業務に就ける施設や職場のことであり、接骨院・整骨院を中心に病院・介護施設・スポーツ現場まで幅広い選択肢があります。
就職先の中で最も多いのは接骨院・整骨院(施術所)への就職です。
厚生労働省の令和4年衛生行政報告例によると全国に50,919か所の施術所があり、柔道整復師の主要な雇用の場として機能しています。
整形外科や病院に勤務するケースでは、医師の補助・ギプス固定補助・リハビリ業務が主な仕事となります。
医師や理学療法士と連携しながら患者に関わるため、より幅広い知識が身につく環境といえます。
介護施設では機能訓練指導員として勤務することが可能です。
高齢者の身体機能の維持・向上を目的とした訓練プログラムの立案と実施が主な業務であり、高齢化社会の進展とともにニーズが高まっています。
| 就職先 | 主な業務内容 | 雇用形態の傾向 |
|---|---|---|
| 接骨院・整骨院(施術所) | 外傷の整復・固定・後療法・療養費請求 | 正社員・アルバイト |
| 整形外科・病院 | 医師補助・ギプス固定補助・リハビリ業務 | 正社員 |
| 介護施設 | 機能訓練指導員として身体機能の維持・向上 | 正社員・パート |
| スポーツ現場 | チームトレーナー・コンディショニング | 契約・業務委託 |
| 独立開業 | 施術所の開設・経営・施術 | 個人事業主 |
柔道整復師の平均年収とは、就業している柔道整復師の給与・賞与などを合算した年間収入の全国平均のことであり、就業先・経験年数・地域・雇用形態によって大きく変動します。
厚生労働省の職業情報提供サイト(jobtag)の令和6年データによると、柔道整復師の平均年収は430.2万円で、ハローワーク求人統計データに基づく月額賃金は27.2万円です。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査において、柔道整復師を含む保健医療従事者分類の平均年収は454万1,500円、月給は31万8,600円(企業規模10人以上)となっています。
新卒者の初任給は月給で概ね23〜25万円程度が目安です。
令和7年賃金構造基本統計調査によると、同分類の初任給所定内給与は月23万4,000円前後とされています。
収入を左右する主な要素として、勤続年数・勤務形態・院の規模・地域・ダブルライセンスの有無が挙げられます。
同じ接骨院勤務でも院長職や幹部職になると年収400〜600万円台に達するケースがあります。
| 状況 | 年収目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 新卒(接骨院正社員) | 250〜300万円 | 初任給は月23〜25万円が多い |
| 経験5年以上(正社員) | 350〜450万円 | 技術・昇格で差が生じる |
| 院長・幹部職 | 400〜600万円 | マネジメント役割を担う |
| 独立開業(施術所運営) | 200〜1,000万円以上 | 経営力・立地・患者数による |
| スポーツトレーナー(業務委託) | 300〜600万円 | 担当チーム・実績によって変動 |
柔道整復師のキャリアパスとは、資格取得後の就業形態や活動領域の選択肢のことであり、接骨院の独立開業とスポーツトレーナーは特に注目度の高い2つの方向性です。
独立開業(施術所の開設)には、柔道整復師免許に加えて施術管理者としての要件を満たす必要があります。
令和元年の制度改正により、開業前に1年以上の実務経験と施術管理者研修の修了が義務付けられています。
開業後の収入は患者数・施術単価・地域性・経営努力によって幅が大きく、年収300万円を下回るケースから年収1,000万円を超えるケースまで存在します。
経営者としての視点と施術技術の両方が求められる働き方です。
スポーツトレーナーとは、アスリートの身体コンディションの管理・傷害予防・リハビリをサポートする専門家のことです。
柔道整復師の資格を持つトレーナーは急性外傷への対応力を武器に、プロスポーツ現場でも活躍しています。
スポーツトレーナーとして活動する際は、日本スポーツ協会が認定するアスレティックトレーナーや日本トレーニング指導者協会の資格を取得することで専門性をさらに高められます。
柔道整復師のダブルライセンスとして最も選ばれる組み合わせの一つです。
| 項目 | 独立開業 | スポーツトレーナー |
|---|---|---|
| 開始に必要な要件 | 実務経験1年以上・施術管理者研修修了 | 柔道整復師免許(追加資格があると有利) |
| 主な業務内容 | 施術所の経営・施術全般・保険請求 | コンディショニング・傷害予防・急性対応 |
| 雇用形態 | 個人事業主または法人 | 契約・業務委託・正社員 |
| 年収の幅 | 200〜1,000万円以上(経営次第) | 300〜600万円(実績・担当チームによる) |
| 主なリスク | 集客・経営・資金繰り | 試合スケジュールへの対応・収入の安定性 |
柔道整復師の将来性は、高齢化社会の進展と健康意識の高まりによって需要が拡大する方向にあります。
施術所の競争環境の変化とは、就業柔道整復師数と施術所数の増加によって、同一地域内での患者獲得競争が以前より格段に激しくなっている状況のことです。
厚生労働省の令和4年衛生行政報告例によると、就業柔道整復師数は78,827人、施術所数は50,919か所に上ります。
施術所数はコンビニエンスストアの店舗数に匹敵するほどの規模であり、地域によっては飽和状態が指摘されています。
柔道整復師の施術所数は、2008年(平成20年)時点から継続して増加しており、養成校の増設に伴う資格取得者数の増加が供給圧力になっています。
2018年(平成30年)の施術管理者要件の改定により、免許取得直後の開業が制限されたことで一定の歯止めがかかりましたが、地域によっては患者をめぐる競争が依然として激しい状況が続いています。
保険請求の適正化も業界の重要な課題です。
厚生労働省は多部位逓減の強化・長期施術への審査厳格化・広告表現の規制強化を進めており、保険収入に依存した経営モデルの見直しを促す動きが強まっています。
| 課題 | 内容 | 業界への影響 |
|---|---|---|
| 施術所の過剰供給 | 養成校増設に伴う資格者数増加 | 地域内競争の激化・患者の分散 |
| 保険請求の厳格化 | 多部位逓減強化・長期施術審査強化 | 保険収入の減少リスク |
| 広告規制の強化 | 医療機関と誤認させる表現の禁止 | 集客手法の変更が必要 |
| 整体・民間サロンとの競合 | 無資格施術所の増加 | 価格競争の激化 |
柔道整復師への需要拡大の背景とは、急速な高齢化と健康・スポーツへの意識の高まりによって、急性外傷対応・機能訓練・コンディショニングの専門家が求められている社会的変化のことです。
内閣府の令和7年版高齢社会白書によると、2024年10月1日時点の日本の高齢化率は29.3%で、65歳以上人口は3,624万人に達しています。
2070年には2.6人に1人が65歳以上になると推計されており、高齢者の外傷リスクとリハビリ需要は増加し続けます。

介護施設では機能訓練指導員の資格要件に柔道整復師が含まれており、特別養護老人ホームでは機能訓練指導員を1名以上配置することが義務付けられています。
高齢者の骨折・転倒後のリハビリ需要は今後さらに高まると見込まれます。
スポーツ分野では、健康増進・競技パフォーマンス向上への関心が高まりを見せており、プロアスリートから市民ランナー・部活生まで外傷対応とコンディショニングの専門家へのニーズが拡大しています。
| 需要拡大の分野 | 需要の根拠 | 柔道整復師の役割 |
|---|---|---|
| 介護・福祉施設 | 高齢化率29.3%・機能訓練指導員の配置義務 | 身体機能の維持・向上を支援 |
| 高齢者外傷対応 | 転倒・骨折リスクの増加 | 骨折・脱臼への徒手整復と固定 |
| スポーツ現場 | 健康意識・スポーツ人口の拡大 | 急性外傷対応・コンディショニング |
| フィットネス・予防医療 | 予防医療・健康増進ニーズの高まり | 運動指導・傷害予防のサポート |
今後の柔道整復師に求められるスキルとは、徒手整復・固定などの従来の専門技術に加えて、自費メニューの開発・経営管理・多分野の資格取得といった付加価値を高める能力のことです。
保険施術への依存からの脱却が、接骨院経営における重要なテーマとなっています。
慢性腰痛ケア・スポーツコンディショニング・姿勢矯正などの自費メニューを確立することで、保険制度の変更に左右されない安定した収益を目指せます。
ダブルライセンスの取得も有効な差別化手段です。
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーなどの資格を組み合わせることで、対応できる症状の幅が広がり、競合施術所との差異化につながります。
デジタルツールの活用や経営管理スキルも重要になっています。
院の予約管理・SNS活用・患者とのコミュニケーション強化など、施術技術以外の面での取り組みが競合する施術所との差を生む要因となります。
| スキル・強み | 具体的な内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 徒手整復技術の高度化 | 骨折・脱臼整復の精度向上 | 整形外科との連携・信頼構築 |
| 自費メニューの開発 | スポーツ・姿勢矯正・慢性痛ケア | 保険依存からの脱却 |
| ダブルライセンス取得 | 鍼灸師・アスレティックトレーナー等 | 対応領域の拡大と差別化 |
| 介護分野への展開 | 機能訓練指導員としての活動 | 高齢化需要への対応 |
| 経営・マーケティングスキル | 集客・SNS活用・収益管理 | 持続可能な経営基盤の構築 |
柔道整復師とは、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷の5種類の外傷を、手術を使わずに整復・固定・後療法で治療できる国家資格者のことです。
柔道整復師法(昭和45年法律第19号)に根拠を持ちます。
厚生労働省が管轄し、国家試験の合格と免許登録によって取得できます。
法律上の裏付けを持つ点が、整体師やカイロプラクターと根本的に異なります。
整骨院(接骨院)は柔道整復師という国家資格者だけが開設できますが、整体院には法律上の資格要件がなく誰でも開設が可能です。
最大の違いは法律上の根拠と健康保険の適用可否にあります。
整骨院では急性外傷に対して健康保険の療養費が適用されますが、整体院での施術は原則として全額自己負担となります。
ケガの治療目的であれば整骨院への受診が法律的にも費用的にも適した選択です。
骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷の5種類の急性外傷であれば、健康保険の療養費が適用されます。
慢性的な肩こりや疲労回復目的の施術は保険の対象外となるため、負傷の原因を正確に伝えることが大切です。
受診の際はいつ・どこで・どのような経緯で負傷したかを明確に伝えましょう。
全国健康保険協会の案内でも、外傷性の負傷でない場合は健康保険が使えないと明記されています。
最短ルートは3年制の専門学校(昼間部)への進学で、卒業後に国家試験に合格すれば22〜23歳での取得が可能です。
社会人向けの夜間部(3年制)でも働きながら取得できます。
4年制の大学コースを選べば学士号も同時に取得できます。
免許取得後に施術管理者として開業するには、令和元年以降の規定により1年以上の実務経験と研修修了が追加で必要です。
骨折が疑われる強い衝撃や変形・腫れが著しい場合は整形外科を優先してください。
比較的軽度の捻挫・打撲であれば接骨院での対応が適しており、テーピングや電気療法など外傷に特化した施術を受けられます。
迷った場合は接骨院に相談しても問題ありません。
柔道整復師は整形外科への紹介が必要と判断した場合、適切なタイミングで連携先を案内します。
最大の違いは医師の指示の要否にあります。
柔道整復師は急性外傷に対して医師の指示なしに施術できますが、理学療法士は常に医師の指示のもとで動く立場であり、独立して施術所を開設することはできません。
施術の対象も異なります。
柔道整復師は急性の外傷治療が専門領域ですが、理学療法士は医師が指示したリハビリテーション全般を担います。
急性のケガには柔道整復師、回復期のリハビリには理学療法士という役割分担が医療現場では一般的です。
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、柔道整復師の平均年収は430.2万円(令和6年データ)です。
独立開業の有無・院の規模・経験年数によって年収は300万円から1,000万円以上まで幅が生じます。
新卒正社員の初任給は月給23〜25万円前後が一般的です。
接骨院での経験を積んで院長職や幹部職に就くと年収が上昇しやすく、独立開業後は経営力次第でさらに幅が広がります。