臨床試験at平成医療学園附属鍼灸接骨院

2015-04-15 (水) 14:20 教職員Blog,鍼灸学科,鍼灸教員,附属治療院

皆さん、こんにちは。
鍼灸師科教員の内藤です。

今年の1月11日~2月8日までの期間、週に1度、平成医療学園附属鍼灸接骨院にて臨床試験を行いました。
臨床試験と聞くと難しいイメージがあるかもしれませんが、例えばお薬の効果を確認するために治療を兼ねて行われる調査を臨床試験と言います。
鍼灸治療も同様に臨床試験を行うことで、「鍼灸治療に本当に効果があるのか?」また「どのような治療方法が一番効果的であるか?」
などを知るために臨床試験を行います。

では、どのような患者さんを対象に臨床試験を行ったのか。

皆さん、『線維筋痛症』という病気をご存じでしょうか?
線維筋痛症とは、慢性的に全身に激しい痛みが生じる病気で、はっきりとした原因は不明であるとされています。
また、病院内で行う検査(血液検査やレントゲン、CT、MRIなど)では異常所見が診られません。
さらに、慢性的な痛み以外にも、関節と全身のこわばり、疲労感、全身のひどいだるさと倦怠感、睡眠障害、下痢、月経困難、などなど…多彩な症状を伴うことがあります。

内藤先生ブログ①

ここで、問題とされているのは『線維筋痛症』という病気を理解している医療関係者が少ないということです。
【はっきりと診断されない】【原因がどこなのか分からない】【誤診されているのではないか】などといった不安やストレスを抱えていることから、病院を転々とするいわゆるドクターショッピングをしている患者さんは多いと言われています。
線維筋痛症患者さんは全国で推定200万人いると言われていますが、実際に線維筋痛症として診断・診療された患者数はわずか1万人程度であるとの報告があります。
そのため、線維筋痛症の可能性がある患者さんが病院以外の施設で何らかの治療を受けている可能性は高く、特に鍼灸院のように痛みの治療を専門としている場所には、慢性痛の患者さんが多く来院されている可能性も高いと考えられます。
実際、鍼灸院・整骨院を中心に医療機関へアンケート調査を行ったところ、来院した患者の半分は慢性痛であり、その中で線維筋痛症と疑われる患者さんは全体の約1割も存在していたとの報告があることから、われわれ鍼灸師・柔整師は線維筋痛症のことを理解しておかなければなりません。
さらに、線維筋痛症と診断されても、お薬のみで症状が改善する患者さんの割合はそれほど多くはないことから、病院以外の治療を受けている患者さんも多く、鍼灸院は全体の4割、整骨院には2割の患者さんが訪れています。

では、みなさん、線維筋痛症の疑いがある患者さんが実際に治療院に来院したら、どんなところに治療をしますか?
痛いところでしょうか?
もちろん痛いところに鍼はしますが、痛いところがたくさんあったら全部に鍼をしますか?

少し難しい話になりますが、「鍼は内因性痛覚抑制機構という鎮痛システムを賦活する」と言われています。
簡単に言えば、「本来身体には痛みを抑える仕組みが備わっていて、その仕組みを使って痛みを抑えている」ということになります。
鍼灸治療は、その仕組みを使って、痛いところの近くに擦るような刺激をすることもあれば、痛いところと離れたところに鍼をすることがあります。
離れたところに鍼をしてなぜ効果があるの?って、思う方もいるかもしれません。鍼の刺激が脳内にオピオイド(麻薬のような物質)を放出させて、痛みを止めていると考えられています。そのため、鍼灸刺激はどんな場所に行っても痛みを抑制することが可能であり、全身の様々な痛みに対処することができます。

線維筋痛症のような身体のさまざまな部位に痛みがある患者さんの場合、もちろん痛い所に鍼治療をすることもいいのですが、全身の痛みに効果があるような治療もいいのでは?と、思いませんか?

そのため、線維筋痛症に対して、どんな鍼灸治療がよいか世界中の論文から検討した報告があります(コクランレビュー)。その報告では、左右の手足に鍼通電をすることが線維筋痛症の痛みに対して効果があると言われています。上でお話しした全身性の痛みを抑える機序を利用したものです。この報告は海外のものであって、日本で効果があるかどうかは確認されていません。そこで今回、厚生労働省の研究班として日本でもこの治療方法に効果があるかどうか検討することになりました。

今回、臨床試験を行われた明治国際医療大学伊藤和憲准教授は線維筋痛症や慢性疼痛を専門とされ、痛みに対する鍼灸の研究、臨床の第一認者です。
そして、伊藤准教授の元で指導を受けた、鍼灸師科教員の内藤と齋藤で臨床研究のお手伝いをさせていただきました。

前置きが長くなりましたが…(´・ω・`)
実際の臨床試験ではこのような形で行っていました。

内藤先生ブログ②

内藤先生ブログ③

内藤先生ブログ④

臨床研究って言っても、
「なんで効果があるの?」
「この方法は本当に効果があるの?」などの日常の治療の疑問がベースになります。
だから、研究と臨床は別ではなく、臨床の疑問を研究に、研究でわかったことは臨床へって考えれば、両方大切だと思うのですが、いかがですか?
また、このような研究成果が積み重なれば、鍼灸治療を受けたことがない方でも受けてみようと思って頂けるきっかけとなります。
その意味で、研究は難しいようですが、大切なことなのですよ!

平成医療学園専門学校では、痛みへの理解を深め、治療の幅を広げられるよう多彩なゼミが豊富に存在しています。
一人でも多くの患者さんの痛みをコントロールできるよう様々な治療方法の術を学んでいただき、その患者さん一人一人に見合った治療(オーダーメイド治療)を提供できるような臨床家を目指していただきたいと思います。

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